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外から侵入する湿気(水蒸気)は、換気と隙間

それでは、今日は外から入る水蒸気についてご説明したいと思います。

例によって、小難しい話で恐縮ですが、とても重要なのでお付き合い下さい。

窓開け換気であれ、換気システムであれ、外からの湿気の侵入の多くは、換気によって外の空気を導入することで、室内に入ってきます。

※ 弊社で採用している一種換気の全熱式タイプは、湿度も多少交換する機能が働きます。

ここで、ご理解いただきたいのが、換気時に導入する屋外の絶対湿度(水蒸気量)が室内の絶対湿度(水蒸気量)より、多い場合は、室内の湿度は上がり、屋外の絶対湿度の方が少なければ室内の相対湿度は下がるということです。

※ 空気中に含まれる水蒸気の量そのものを絶対湿度といいます。私達が通常湿度と呼んでいるのが、その温度の含むことの出来る水蒸気の量に対して、どの位の水蒸気量が含まれているかの割合を%で表した数値です。

例えば、室内が28℃で60%だったとすると、室内空気1立米の中には約16.3グラムの水蒸気を含んでいることになります。

※ 60%が相対湿度で16.3グラムが絶対湿度ということです。

その室内の温湿度の時に、外が22℃で70%の空気だったとすれば、外は相対湿度は上がっていますが、13.5グラムの水蒸気を含んだ乾いた空気となり、この乾いた空気を換気によって、室内に取り込み、室内の空気を外に排出することで、室内の絶対湿度も相対湿度も下がり、50%位まで下がるのです。

反対に、外が33℃で50%であれば、相対湿度は低く感じますが、絶対湿度は17.8グラムとなり、実際は湿った空気となります。

この空気を換気によって取り込むと、室内の相対湿度も絶対湿度も上昇していくのです。(室内が28℃で65%・27℃で69%・26℃で73%・25℃で77%に近づいていく)

※ こうした話をするとそれでは換気をとめればいいのでは?という方がたまにいらっしゃいますが、換気を止めると、昨日の話ではありませんが、室内で発生する大量の水蒸気が排出できずに、さらに湿度が高い状況になります。

この温度による相対湿度と絶対湿度の違いを理解すると、窓を開けていいのか、逆効果なのか、どの程度の除湿が必要なのかなど、ある程度わかるようになりますので、頭に入れておいてください。

そして、もう一つ考えなければならないのが、家の隙間から室内に侵入する湿気の流入があります。

隙間による湿気の流入は、意図せずに入ってくるので非常に厄介な存在でもあります。

水蒸気は、外の気温や絶対湿度が低い冬場には、室内から外に向かって移動するのですが、今の時期の隙間からの湿気の流入は、外の水蒸気量よりも室内の水蒸気量が少ない場合が多く、逆に隙間をすり抜け室内側に侵入してくるのです。

前段、室内が28℃で60%の場合は、約16.3グラムの水蒸気を含んでいると言いましたが、外が30℃で80%であれば、一気に絶対湿度は上がり、24.3グラムの水蒸気を含んでいるじめじめした空気になるのです。

水蒸気の移動は、熱同様、高い所から低い所へ移動することは、何回か紹介したと思います。

このように、絶対湿度の量の差が、大きければ大きいほど水蒸気分圧という力がはたらき、外の湿気が、床下や壁の中・小屋裏・サッシ等の隙間を通過し、どんどん室内に侵入してきてしまうのです。


※ アイシネンHPの画像より

この作用は、水蒸気分圧という平衡化のはたらきによるもので、外の水蒸気と室内の水蒸気量が同じになろうとして家の隙間から室内に侵入してくるのです。

室内の水蒸気量が、外と同じ24.3グラムになれば、水蒸気の動きは止まるのですが、そうなると、室内の湿度は90%以上になり、換気だけではなく、当然除湿も必要になり、除するようになるのですが、除湿すればするほど、室内へ湿気は侵入し続け、長雨の続いた昨年の夏の様に、日々、カビに悩まされ続けてしまうというわけです。

寒い冬に、家の中に温度差があると、いつのまにか寒い部屋の窓や北側の押入れの壁に結露するのは、水蒸気は温度と絶対湿度が低く、寒い箇所へ移動し、平衡化しようとする動きによるもので、温度が低いと含むことの出来る水蒸気の量が少ないので、含みきれなくなった水蒸気が結露となって水に変わるからです。

表面結露も内部結露も、家の温度差がもたらす自然現象で、温度差の少ない家と暮らし方をいつもお伝えしているのは、単に快適だとかヒートショックを防ぐだけではなく、湿気や結露対策にとっても非常に重要で、家の温度差をなくさない限り、湿気や結露の解消は困難なのです。

そして、こうした意図しない水蒸気の侵入を抑えるためにも、家の気密と断熱が非常に大事だということです。

これまで、説明したのは、内断熱(充填)で、気密性能が低い家の場合の話です。

逆に気密・断熱性能が高い家の場合には、外部から侵入しようとする水蒸気は、室内側に設けられた防湿・気密フイルムによって、せき止められてしまい、床下や壁の中・小屋裏で内部結露する危険性が高まるということです。

内部結露の怖さについては、いつも紹介しているので省略しますが、この時期の内部結露は、壁の中も高温になっており、冬場の結露以上に深刻な問題が発生するということをご理解いただきたいと思います。

少々の結露は、乾くので問題はないとする建築業者もいまだに多いのですが、水蒸気は常に量が少ない方へ移動する力がはたらくために、この時期は、外部へ排出されずに徐々に断熱材や木材に水分が吸収され、断熱性はもとより耐震性も低下していくのです。

結果、結露してもカビたり腐れたり、シロアリにやられないように、大量の防腐・防カビ・防蟻薬剤を木材や断熱材に注入を前提とした劣化対策が現在の国の基準でもあるのですが、点検もしようがなく、いつまで効果が持続するのか、多くの薬剤の健康被害はどうなのかは、誰もわからないのが、現実なのです。

つまり、内断熱(充填断熱)の場合は、性能が悪ければ湿気が室内に浸入し、性能が良ければ壁体内でせき止められ、内分結露してしまうわけで、どちらにしても問題が発生してしまう危険性が高くなってしまうのです。

そうした危険性を回避し、夏場の内部結露を防止するために、性能の高い、高気密・高断熱住宅の気密フイルムとして、冬の防湿性と夏の透湿性を兼ね備えた防湿・透湿シートが、資材メーカー各社から、続々発売されているのですが、効果や耐久性を考えても、いささか無理があるというのが私の考えです。

オイルショック以降、長年続くこうした家づくりを転換するのは、難しい側面もあるのですが、外断熱にすればこうした問題は、一気に解決すると思うのですが、ここら辺が住宅業界に限らず、これまでも続くこの国の悪しき習慣とも言えるのではないでしょうか。

http://daitojyutaku.co.jp/log/?l=455526

こうした水蒸気の話をしても、真剣に耳を傾けていただける方は、一般のユーザーはもとより、業界でもまだまだ少数で、たかが湿気と無関心な方がほとんどです。

しかしながら、湿気は、建物の耐久性ばかりでなく、日々の生活や人の健康にも大きな影響を及ぼしてしまうということは、これまでのこの国の住宅の歴史を振り返っても間違いないことで、家づくりのあり方を根本から見直さない限り、この湿気を解消するのは、困難であり、矛盾だらけの湿気や結露対策を図れば図るほど、弊害も大きく、永遠に続いてしまうということを私のブログをご覧いただいている方には、ご理解いただきたいと思います。

弊社が、長年にわたり、温度差のない暮らしと綺麗な空気にこだわり、外断熱の家づくりに取り組んでいるのは、「いつまでも強く・いつまでも快適に」住む人と建物の健康をいつまでも守り、50年後も次の世代に引き継げる価値ある住まいを実現するためです。

そして、この湿気という水蒸気がもたらす問題の解消なくして、こうした住まいの実現は、困難で、その重要性を多くの方々にお伝えし、この国の家のつくりを変えていくべく、このブログを書かせていただいているということをご理解いただければ幸いです。





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2018.07.10:[スタッフレポート]

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