2019年2月17日
熱橋(ヒートブリッジ)を防ぐ外断熱
熱の移動は、目に見えないので、その伝わり方もわかりづらいのですが、基本的に、伝導・対流・輻射によって伝わり、温度の高い所から低い所へ移動します。
つまり、家での熱の伝わり方を考えれば、時間帯にもよりますが、そのほとんどは、冬は寒い外へ、移動し、逆に夏は暑い外から室内へ移動するのです。
よって、省エネ性や快適性を高めるには、冬季間は、外へ逃げる熱損失量を減らし、夏季は、外からの室内への熱侵入を抑えることが必要となります。
そして、壁体内への水蒸気の出入りを抑えることで、湿気や内部結露も抑制することが出来るのです。
ソーラーサーキットの家は、構造の外側で、連続した断熱工事と気密化が図れることで、柱や金物部の熱橋(ヒートブリッジ)による影響を抑え、冬の断熱性とともに、夏の遮熱性能も確実に発揮し、高い気密性能によって、水蒸気を含んだ空気の出入りを抑えることが出来るのです。
夏の暑い時期になると、エアコンをつけても冷えないとか、適温になって消すとすぐ暑くなるという声を良く聞きますが、原因の多くは、壁や小屋裏の熱ごもりによる輻射熱の影響によるものです。
日射熱の影響を受けやすい内断熱の壁の中や小屋裏の温度を想像して頂きたいのです。
太陽の日射熱を受けた外壁材や屋根材の裏側は、最低でも40℃を超え、時には50℃に達するケースも出てきます。そして、南面・特に西側の壁の中も高温となり、その熱が柱や断熱材に伝わり室内へ移動し、熱も自ずと蓄えられてしまい、壁面の表面温度も上がることで、体感温度も高くなるというわけです。
ソーラーサーキットの家では、構造の外側で断熱と気密工事を実施するので、構造材も熱橋にはならず、壁や小屋裏の温度上昇を大幅に抑制します。
それでも、多少の温度上昇は必然となりますが、インナーサーキット(内部通気層)の働きと暖かい空気の上昇気流により、熱せられた空気は、小屋裏空間から、専用の排気ファンによって、外部へ排出させます。
そうすると、壁体内に負圧が生じて、床下の24℃~25℃という涼しい空気を引っぱる作用が生まれるというわけです。
ようするに、外断熱でしっかり遮熱し、内部の通気層によって、壁の中の温度上昇を抑え、室内への熱の侵入も防ぎ、地熱による冷やされた空気の力で排熱し、建物そのものを冷ましてくれるという効果も生れるのです。
その結果、内壁や天井面の表面温度も、室内同様の温度となり、冷房の設定温度も27℃~28℃で十分になり、省エネ性も発揮するのです。
この躯体内通気の力によって、建物自体を冷ます機能が、ソーラーサーキットの大きな特徴で、単に暖かいだけの高気密・高断熱住宅との大きな違いで、夏場の室内の自然室温が2℃~3℃は違うのです。
さらに、外の湿気を含んだ水蒸気の侵入も抑えられるので、湿度も低く、60%以内にコントロールすることも容易になります。
よく木は生き物といわれますが、ご自身が木になったつもりで考えていただきたいのです。
真夏日に40℃~50℃にもなり、周りに断熱材に囲まれた木と、28℃~30℃と一定の温度を保ち断熱材もなく、通気された木であれば、どちらを選ぶでしょう?
住まいにとっても、住む人にとっても、冬と夏の環境を両立させることが、省エネで快適に健康に暮らすための重要なポイントなのです。
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