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キッチンの換気扇にもご注意を

キッチンを選定する場合、デザインや素材・機能や色など検討すると思いますが、調理グリルに、必ずついている換気扇にも、注意しなければならないポイントがあります。

キッチンの換気の排気量は、1時間当たり400立米から600立米あり、(120㎡の家全体の気積は約300立米)とても大きいのですが、排気に見合う分の空気を給気するための措置が必要です。

通常、高気密・高断熱の家では、同時吸排型のレンジかキッチンのそばに専用の給気グリルの設置が必要です。

こうした対策が取られない建物では、レンジの換気をつけるたびに、換気システムの吸気口や家中の隙間から空気を引っ張り込んだり、換気扇が空回りするだけで排気されないなどの不具合が発生します。

一番空気を引っ張りやすいのが、キッチンに隣接するダイニングやリビング周辺の隙間となり、換気の給気口や窓サッシ・コンセントなど、外壁側に面している小さな隙間から、空気を引っ張り、冷たい空気がまともに侵入するので、リビングやダイニングにいると、寒さにより不快となり、暖房の効率も低下してしまいます。

そうすると、寒さを抑えるために、換気を消したりして、調理の臭いや生活臭が家中に漂い、ニオイ対策でファブリーズを使い、逆に健康を害してしまうという悪循環さえ生まれてしまいます。

こうした状況もあって、空気清浄機の需要も増加しているのですが、清浄機は室内の空気を循環して、空気中の汚れ成分を吸着するだけで換気機能はないということを理解しなければなりません。

こうしたことは、高気密・高断熱住宅を真剣に手掛ける造り手の間では常識であり、弊社では、20年以上も前から同時吸排型のレンジフードは標準仕様で、特にPRすらしていない当たり前のことでした。

その当たり前だと思っていた、同時吸排のレンジフードの採用率は10%にも満たないということが、取引のあるメーカーから聞かされたのですが、とても衝撃的でした。

費用的に、5万~6万のコストを削減するために、採用していないのだとは思いますが、これでは、いくら省エネ基準を満たしているといっても、ユーザーが満足する省エネで快適な住宅はもちろん、健康な暮らしさえ実現することは出来ません。

レンジフードの問題は、寒い冬だけの問題ではありません。

年中使うのがレンジですので、その他の季節においても、同じ現象が起こり、春先には花粉や黄砂・PM2.5 や粉塵にまみれた空気が入り込み、梅雨や夏には湿気を含んだ空気や熱い空気が、レンジを使うたびに大量に室内へ流入してしまい、カビやダニの繁殖につながり、室内空気が汚染され、アレルギーを初め様々な病気を引き起こしてしまいます。

いくら除湿しても、空気清浄機があっても、家の中の空気は綺麗にならず、結果、消臭剤や芳香剤・柔軟剤や防虫剤などを多用することになり、健康へも悪影響を及ぼしてしまうのです。

たかがレンジフードと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、とても重要なポイントです。

気密や断熱同様、レンジの換気なども、ユーザーが求めなければ、疎かにされてしまう部分ですので、新築を計画中の方は、くれぐれもご注意ください。