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発泡ウレタン断熱のイソシアネートの危険性を知る

先日、名取文化センターで、講師に東京大学名誉教授でもあり、開成中学・高校の校長でもある柳沢幸雄先生を講師にお迎えした「化学物質過敏症」についての講演会が開催されました。

柳沢先生は、環境や教育の分野において、世界的な権威でもあり、シックハウスや化学物質過敏症の研究においても、第一人者として知られており、私も大変尊敬している先生です。

講演内容もとても分かりやすい説明で、皆さんが熱心に耳を傾けていらっしゃいました。

今回のセミナーは、みやぎ化学物質過敏症の会~ぴゅあい~さんの主催でしたが、協賛団体を代表して、ご挨拶をさせていただきました。

香害=香りによる健康被害は、先月もNHKで特集番組が4回も放映されるなど、大きな社会問題になりつつありますが、消臭剤や芳香剤・柔軟剤などによる化学物質による、健康被害が急増しており、公共機関や学校・病院などにも香料自粛のポスターを随分と見かける様になりました。

化学物質過敏症に苦しむCS患者は、現在国内で100万人いるとされていますが、潜在患者は700万とも1000万人とも言われています。

現在、花粉症は国民の3人に1人が、発症しているように国民病となっていますが、この化学物質過敏症も、近い将来、多くの国民が発症するのではと、問題視されておりますが、花粉症よりも、症状が重く、原因の特定も困難で、本当に深刻な問題になるという認識を持つ必要があるのです。

人の持つ、化学物質の許容量は、それぞれですが、ひとたび許容量をオーバーすると、原因不明の咳や頭痛、目眩やしびれ・倦怠感など様々な健康障害に襲われ、日常の生活が困難に成る程、重症化する怖い病気で、有効な治療法も確立されておらず、誰しもが、ある日突然、発症する可能性があるのが化学物質過敏症という病気です。

消臭や除菌の為に、室内や家具やカーテン・洋服にシュッシュしたり、部屋干しの嫌な臭いを軽減するために、柔軟剤や香料の強い洗剤を、知らず知らずのうちに使用することで、空気が汚染され、ご自身やご家族の体を、蝕んでいるということ認識も必要なのです。

現代に生きる私達は、飲料や食料・日用品や家具・建材にいたるまで、日々、2000物質もの化学物質に囲まれて生活しており、全てを取り除いた生活は到底不可能ですが、出来るだけ取り入れない生活と家の中の空気を綺麗に保つための換気が必要です。

特に、妊婦の方や、小さなお子さんのいる家庭では、十分に注意が必要で、アトピーや喘息・鼻炎・花粉症などのアレルギーはもとより、心身の健全な成長や将来の生殖機能にも関わってくるそうです。

いずれにしても、基本は出来るだけ使わない、やむなく使う場合でも、容量や使用法を守り、室内に化学物質が充満しないような、換気を心がけるしかありません。

そして、消臭剤や柔軟剤・制汗剤や整髪料・香水など、私達が無意識に発する臭いによっても、辛い思いをしているCS患者の皆さんがたくさんいらっしゃるということも、理解しなければなりません。

こうした製品は、趣向品とされ、洗剤などにも義務づけられている、家庭用品品質表示法にも該当しないため、原材料の表示義務はなく、業界の自主基準により一部表記されているだけに過ぎず、身体に有害な物質がどれほど含有されているか消費者には、明示されていないのが現状です。

特に、臭いを閉じ込めるマイクロカプセル製品に、海外では非常に規制の厳しいイソシアネートという物質が含まれているのです。

消臭剤には、空気中のイヤな臭い成分を包み込み、柔軟剤には、人口香料を包み込み香りを持続させるという、マイクロカプセルですが、この物質の主成分がイソシアネートで、危険性が各方面で指摘されていますが、日本では、環境省の規制物質にも該当せず、ありとあらゆるウレタン製品に含まれ、実質、何の規制もなく使用されているのです。

詳しくは、イソシアネート危険性とでも検索していただければ、色々でてきますので関心のある方は調べていただればと思います。

ということで、前置きが長くなってしまいましたが、私がお伝えしたいのは、住宅の断熱材としても、最近よく利用されているウレタン系の吹付断熱材の健康に与える影響です。

建築業界では、ホルムアルデヒドなどの規制物質が含まれていないということで、無制限に使える安心な断熱材となっているのです。

成形品の断熱材は、危険性は少ないようですが問題は現場で発泡する断熱材です。

湿気にも強く、隙間なく施工できるということで、気密工事もせずに、床下や壁・小屋裏にウレタンを発泡させる断熱方法が多く見受けられるようになってきました。

しかし、おそらくは、業界でも、ウレタンの主成分がイソシアネートということも、イソシアネートがどれだけ危険な物質かもわからずに使っているのが、現実ではないでしょうか。

私も、これまでは、火災時には、有毒ガスが発生する位の認識しかなく、グラスウールなどの繊維系断熱材と比較すれば、隙間なく断熱できるので、施工法を間違えなければ充填断熱には適した断熱材と思っていました。

しかし、ウレタン工業会の、ウレタン工業会 安全の手引き の中の、施工や使用に関しての注意書を読み、これまでの考え方が一変しました。

詳しいコメントは、何かと差し障りがあるので、控えさせていただきますが、成型品ならいざ知らず、家中がイソシアネートに囲まれた住宅で、果たして健康な暮らしが確保できるだろうかというのが、率直な思いです。

断熱材の中に含有するイソシアネートが、高温多湿の壁体内での、加水分解や熱分解がどれほどなのかは、知る由はありませんが、空気中に揮発するのは間違いありません。

使用するか否かについては、ユーザーの皆さんの個々の判断におまかせしたいと思いますが、化学物質過敏症の患者の方や、消費者団体の皆さんが、非常に危険な物質と指摘しているにもかかわらず、建築の世界では安心・安全となっている、この国の矛盾に憤りを感じる今日この頃です。

イソシアネートは、住宅の塗料などに含まれているVOCとして、建築材料の規制物質として、指針値の定められている塗料に多く含まれるトルエンの1万倍の毒性とも言われております。

個人的には、乳幼児や小さなお子さんのいる家庭では、避けることをお薦めします。

この世には、消費者や一般の国民が、知らない・知らされない不都合な真実が数多くあり、それで国や経済が成り立っているというのも現実です。

発泡ウレタン断熱の採用を検討なされている方は、くれぐれもご注意下さい。