2018年6月12日
温度で湿度は変わることを理解すると、快適で健康に暮らせる
この話は、日々の家事をこなすことの多い、女性の皆様にこそご理解いただきたいのですが、なかなか理解していただくのが、難しくいつも苦労しています。
ブログをご覧いただく女性の皆さん、何気に大事なことですので、面倒だと思わずに是非最後まで読んで下さい(笑)
空気中には、目に見えない(約10万分の2ミリ)水蒸気を含んでいますが、空気の温度によって水蒸気を含むことの出来る量が変わってきます。
表の通り、5℃の空気1㎏には、6.8gの水蒸気しか含むことが出来ませんが、20℃の空気には17.3gの水蒸気が、含めるようになり、30℃になると30.4gの水蒸気を含むことが出来るようになります。
つまり、温度が高くなれば高くなるほど含むことの出来る水蒸気量が多くなるということで、たとえていうなれば、温度が高くなるにつれ、水蒸気という水分を蓄えるコップが大きくなるというわけです。
※ 含むことの出来る水蒸気の量を飽和水蒸気量といい、含むことの出来なくなった水蒸気、つまりコップから溢れた水分が結露となるわけで、コップやガラス面につく水滴は、表面が冷えることで、温度が下がり、含むことのできなくなった水蒸気が水に変化したものです。(湿度100%を超えた状態)
私達が、普段、湿度と呼んでいるのは、水蒸気を含むことの出来る量に対し、実際に含んでいる水蒸気の量の割合を%で示したもので、これを相対湿度と呼びます。
たとえば、昨日のように、18℃で90%の湿度という場合は、18℃の空気には15.4gの水蒸気が含むことが出来るので、90%の湿度であれば、空気1㎏中には、15.4g×0.9=13.86gの水蒸気を含んでいるということになります。
そして、この13.86gという水蒸気量そのものを絶対湿度と呼びます。
相対湿度とは‥ 含むことのできる水分量に対して、実際に含んでいる水分の割合
絶対湿度とは‥ 空気1kgに含まれる水分量
となるわけです。
さて、ここからが本題です。
外の温度が18℃で90%の湿度であれば、空気1㎏に対して13.86gの水蒸気を含んでいるということがお分かりいただけたと思います。
そして、室内にも、換気や窓・玄関の開け閉め・家の隙間から、この13.86gの水蒸気を含んだ外の空気を取り入れてしまうので、時間差はあるものの、結果的に13.86gの水蒸気を含んだ室内空気になっていくのです。
※ 実際は、人が生活をしていれば、呼吸や汗・炊事や洗濯などでも、水蒸気が発生しているので、室内の空気中に含まれる水蒸気の量は増加しますが、話がややこしくなるので無視します。
つまり、室温も外と同じ18℃であれば、湿度も90%になるのですが、外断熱の家では、概ね23℃から24℃位の室温になっており、空気中に含む水蒸気量が、同じでも、自ずと室内の湿度は変わるのです。
室温が23℃であれば、空気1㎏中の含むことの出来る水蒸気の量は、表の通り20.6gですので、13.86÷20.6=67.2%となり、24℃であれば21.8gの水蒸気を含むことができるので、13.86÷21.8=63.5%の湿度となるわけです。
※ 画像は、昨日の朝と夜の我が家のトイレの画像です
このように、空気中に含んでいる水蒸気の量(絶対湿度)が、同じでも、室温によって湿度は変わるということをご理解いただきたいのです。
そして、これは梅雨寒の状況となりますが、もっと暑くなり、外が30℃で70%の湿度のような場合には、逆の現象となるのです。
30℃で70%の湿度ということは、30.4g×0.7=21.49となり、空気1㎏中に21.49gの空気を含んでいることになります。
この場合、室温が28℃であれば、27.2gの空気が含むことが出来るので、21.49gの水蒸気量の場合の室内湿度は、21.49÷27.2=79%の湿度となります。同じように計算すると、27℃では83.2%となり梅雨寒の状況とは逆に、室温が低くなればなるほど湿度は上昇していくのです。
そして、こうした湿度は、いくら換気しても、外に出た分はまた外から空気が入ってくるので、強制的に除湿しなければ基本的に下がることはありません。
非常に、ややこしい話なのですが、何を言いたいのかというと、天気予報などで、湿度を指すのは、外の湿度であって、室内の湿度は室温によって、変わってくるので、湿度何%という数字にあまりとらわれず、水蒸気量という絶体湿度を考慮しなければならないのです。
そして、気を付けたいのが、この時期の窓開けです。
無意識に、窓を開けることで、外の水蒸気を取り込んでしまい、逆に、室内の湿度を上げてしまう場合があるので注意が必要なのです。
室内よりも外の温度が低い時は、あまり考えなくてもいいのですが、外の温度が、室内と同じ位の時や高い時などは、見かけの湿度ではなく、絶対湿度という水蒸気の量を考えた窓開けが必要です。
風がほどよく吹いて、体感的に爽やかだと感じたとしても、実際は湿気が多い場合も多く、窓を閉めたとたんにムっと暑苦しく感じたりする場合がままあり、無駄なエアコンをつける方も少なくありません。
弊社の外断熱の家では、24時間換気によって、家の中の空気は2時間に1回の割合で、常に換気されています。
また浴室や洗面・キッチンには、個別の換気を設置しており、使用状況に合わせ運転していただければ、この時期の窓開けは不要ともいえるのです。
※ 網戸のちょっとした隙間や網戸が無い方の窓を開けてしまって、蚊や虫の侵入を許してしまうお客様も多々おります(笑)。もちろん、窓開けは個人の自由で気持ちのいい時は、開けてもらって構わないのですが、窓を開けずとも、常に換気され爽やかな空気だというのを実感なされると、多くの方は、窓を開けずに暮らしており、虫との戦いもなくなり、寝室にアースマットを置く必要もなくなるのです。
気流を感じたい場合は、扇風機やサーキュレーターの方が、適しておりますので、上手にご活用いただければ幸いです。
そして、普段の生活で、発生する水蒸気は、計画換気さえ機能していれば、常に外へ排出するので、湿度は、ほとんど上がりませんが、換気を消してたり、フィルターの掃除を忘れて目詰まりしていると、換気量が落ちて、湿度は上がりますのでご注意ください。
そして、気を付けたいのが、大量の水蒸気が発生する家干しで、湿度が高ければいつまでも乾かず雑菌の繁殖によって生渇きの臭いが気になり、湿度も上昇してしまい、カビやダニが増殖しやすくなるのです。
※ 5キロの洗濯物を干すと約3リットルの水蒸気が発生します。
カビは、気流を与えることで、着床を防ぎますので、湿気のこもりやすいクローゼットや押入れなども、戸を開け、扇風機で風にあたるなどしていただくことで、カビやダニの繁殖は大分抑えられます。
これから、じめじめして、湿気が気になる季節を迎えるわけですが、この辺のところを頭に入れて、除湿機やエアコンを使いながら、室内湿度を上手にコントロールしていただきたいと思います。
室内の湿度を60%前後にコントロールし、換気と清掃を心がけることで、消臭剤や防虫剤・殺虫剤・防カビ剤や柔軟剤などの化学物質が、含まれる日用品の使用もかなり抑えられ、行き過ぎたカオリによるシックハウスやアレルギー・化学物質過敏症の発症や悪化を抑え、大きな社会問題になりつつある香害問題の解決にもつながるのではないでしょうか。
除湿について、説明するとまた長くなるので、簡単に説明すると、除湿機は暑くなり、エアコンは寒くなります。暑く感じない時は除湿機を使い、暑いかなと感じる時はエアコンというのが、基本です。そしてエアコンは室内の空気をエアコンの内部で強制的に結露させて、水分を外へ出しています。つまり冷やせば冷やすほど結露量は多くなり除湿量も多くなります。最近のエアコンは、再熱除湿機能といって、一旦冷えされた空気をまた暖めてから室内に戻す機能がついた機種が多くなってきましたが、光熱費が結構上昇しますのでご注意ください。
いずれにしても、人と建物の健康を守るためにも、家の中の湿度は、最低でも60%台に抑えた暮らしを心掛けていただきますようお願いいたします。
そして、湿気という日本人を、大昔から悩ませてきた厄介な問題を、解消するために開発されたのが、ソーラーサーキットの家で提案している、除湿と換気を組み合わせたシステムとなりますが、これもまた長くなるので、過去記事を張り付けますので、是非ご覧ください。
http://daitojyutaku.co.jp/log/?l=454443
※ 画像は今朝の寝室枕元の温湿計です。湿度が下がっており?と思う方もいるかもしれませんが、これには理由があります。
〇 昨日より外の絶対湿度が低い
〇 夜間に、2階ホールにて除湿機を使い洗濯物を干しており、寝室も多少除湿されている。
〇 寝具が室内の湿気を多少吸収している。
こんな理由が考えられますが、通常、人は寝ている間でも呼吸や汗によって、1時間当たり50グラムもの水蒸気を発しているといわれており、換気が不十分だと湿度は上がるのが普通ですが、寝室も年中、オープンにしている我が家では、寝室もしっかり換気がされているということになります。
弊社のお客様に限らず、換気システムが設置されている方は、基本的に寝室もオープンした開放的な暮らしが必要で、その為にも気密や断熱・換気のバランスが取れた性能の高い住宅が求められているのです。
※ 市販されている安価な温湿計は、温度で+-1℃・湿度で+-5%程度の誤差は、つきものですので、おおまかな目安となります。ホームセンターなどで購入する場合は、5.6個並べて平均値の物を購入すると誤差は少ないので参考までに。
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