2018年6月7日
梅雨から夏にかけての新築物件は午後から見るべし
じめじめして、暑くなるこれからの時期の建物見学のポイントを紹介しておきましょう。
室内の建材などに含まれているVOC(揮発性有機化合物)は、温度や湿度が高くなれば高いほどその揮発量も大きくなるのはご存知でしょうか。
ようするに、建材のみならず、カーテンや家具・防蟻剤などに含まれるVOCも揮発しやすく必然的にVOCの総量も増加するのです。
よく、夏場にシックハウス症候群や化学物質過敏症が発症したり、症状が悪化するのはこうした理由も大きいとされています。
厚生労働省が、住宅関係の指針値が示されているVOCは、現在13種類ですが、あくまで指針値であり、実質使用制限が規制されているのは、接着剤などに使われるホルムアルデヒドと防蟻剤のクロルピリオスだけです。
13物質以外にもVOCは無数に使用されており、これらすべてについて指針値を定めることは現実的に不可能です。
そこで、13物質以外の物質も含めた総揮発性有機化合物(TVOC)の濃度の暫定的な目標値400μg/m3と定めているのですが、あくまで目標値であり、測定にも多額の費用がかかるために、実質どれほどの濃度になっているかは、明らかになっていないのです。
こうした現状も踏まえ、健康に影響を及ぼすことのないように、室内のVOC濃度を低減するために、2時間に一回の換気量の確保が義務付けられているとも言えるのです。
しかし、気密が悪ければ、換気経路に乱れが生じ、設計どうりの換気量を確保するのは難しいのも現実で、家の中のVOC成分が抜けきれずに刺激臭を感じる場合があるのです。
この時期の物件を案内する場合、出来るだけ室内環境を良くみせるために、窓を開けたり、エアコンをつけたりしているのが、一般的です。
窓をあちこち開けている場合は、こうした臭いをごまかす為に開けているケースも多く、エアコンをつけている場合は、湿気や暑さを感じさせないようにつけているケースがほとんどです。
また、余談ですが、中古物件などは、長年の生活臭やカビ臭さを抑えるために、ファブ〇〇〇などの消臭剤を大量に使用し、異様な臭いが充満し、敏感な方でなくとも頭がいたいとか、目がチカチカするという声を良く聞きます。
さて、人が住んでいない新築物件の場合、生活熱も発生しないため、たとえ外が30℃位になっても、ある程度の気密・断熱性能を有していれば、室内の自然室温も27℃~28℃になっているので、エアコンは付けずともさほど暑さを感じないものです。
また、換気がキチンと機能していれば、少々室温が上がったくらいでは、普通の方が刺激を感じるような臭いはまず感じません。
この辺を頭に入れながら、見学することが大事で、オススメの時間帯は、室内が一番暑くなる午後3時から5時位です。
そして、家には必ずついてある床下と天井の点検口を除いて、中の状況をご自身の目と鼻で確認することです。
床下や小屋裏には、家の性能や技術はもちろん、その会社の家づくりの考え方や職人の良心が詰まっています。
相変わらず、建売などを衝動買いする方も多いのですが、家は、一生に一度の高い買い物ですので、問い合わせがたくさんあるとか、早く決めないと売れてしまうとかいう、セールストークに惑わされずに、確認すべきところはしっかり確認した上で、進めていただきたいと思います。
いずれにしても、蒸し暑い日の見学は、家の性能が表れやすく、その後の住み心地の良し悪しがある程度つかめるので、絶好の時期とも言え、出来るだけスッピンの状態で確認したいものです。
ポイントは、まだ日射熱の影響をあまり受けない午前中の見学ではなく、室内が一番暑くなる午後の時間帯の3時以降に見学するのが最適です。
※ 本来ならば、新築住宅でのVOC濃度の測定や気密測定が、当たり前になれば入居後の問題は、大分解消するのですが、法規制もないために分譲住宅では、ほとんど実施していないのが現状です。2つの測定を第3者に依頼しても、おそらくは8万円前後の費用で、正確な検査が可能です。個人的には、自己負担しても実施すべき検査ではないかと感じる今日この頃です。
- 社員ブログ