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太陽光発電はつけたほうがいいのか?

震災以降、エネルギーの価値観が変わり、補助金などの政策的な後押しもあり再生エネルギーへの導入が進んでおります。

今年度は、国交省や経産省に加え、環境省でもZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)関連の補助金が予算化されており、国も本腰を入れて新築のZEH化を推進しています。

正直いって、これまでは、太陽光発電は投資的要素が強く、業界全体が、住宅を売る為の一つの道具として、太陽光を推進していた傾向が強く、私自身は家造りの本質からはずれた、そうした風潮に常々疑問を持っており、お客様の要望があれば対応しておりましたが、積極的なご案内は控えておりました。

しかし、電気料金の度重なる値上げに加え、再生エネルギー賦課金の上昇により、年々光熱費が上昇し、私達の生活を圧迫してきている現状の中、さらに上昇する可能性が強く、生活防衛という観点からも導入の必要性を感じている次第です。

本来、太陽光発電は、原発への依存を改め、低炭素社会の形成にこそ意義があるのですが、電気料という毎月のランニングコストの軽減を図る意味においても有効であり、夏場の冷房負荷も低く、もともと光熱費の負担の少ないソーラーサーキットの家は、他の建物以上に、設置メリットが大きいのも事実です。

ご予算に余裕があればもちろん、住宅ローンを増額しても、結果的には大きなプラスとなりますので、太陽光の設置をご検討いただきたく、少々長い説明になりますが、太陽光を取り巻く現状とソーラーサーキットの家に搭載した場合のシュミレーションなど紹介させていただきます。

まず電気料金ですが、震災以降年々上昇し、平均25%上昇しております。但しこれは全世帯平均の上昇率であり、オール電化住宅の上昇率はさらに大きく30%以上上昇しているのが、現実ではないかと思います。

そして、今後問題となってくるのが、再エネ賦課金の上昇です。

「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」は、太陽光発電などの再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で買い取ることを国が保証する制度で、電力会社が買い取る費用を電気を利用する方から、賦課金という形で、広く集めるものです。

制度がスタートした時点では、1Kwあたり0.22円の賦課金でしたが、年々増加し、この5年で10倍に上昇しました。

平成24年度- 0.22円/kWh 66円/月
平成25年度- 0.40円/kWh 120円/月
平成26年度- 0.75円/kWh 225円/月
平成27年度-1.58円/kWh 474円/月
平成28年度-2.25円/kWh 675円/月
平成29年度-2.64円kWh 792円/月

※ 電気・ガス・灯油併用の標準家庭で、月平均300kW(月7,500円程度)の電気使用の場合

上記は、ガスや灯油も併用している標準家庭の試算ですが、賦課金は、電気の使用量に対して賦課されるので、電力使用の多いオール電化住宅の場合、この3倍から4倍の金額となり、お客様によっては5倍位の負担となる訳です。

つまり、最低でも年間2万円~お客様によっては5万円位の賦課金を負担しなければなりません。

※ 我が家の昨年の賦課金総額は34,000円ですが、今年は同じ使用量だとすると約40,000円になります。

再生エネルギーを促進し、原発への依存を抑制するために、スタートした買い取り制度「FIT」でしたが、当初の経産省のシュミレーションでは、賦課金のピークは2030年で、kWあたり、2.61円とされていました。

それが、わずか6年でシュミレーションを上回り、kWあたり2.64円となり12倍となった訳で、まだ公表されておりませんが、今年度も上昇するのは確実です。

こうした話をすると、太陽光を設置している方が、悪者になってしまうかもしれませんが、下のグラフを見てわかる通り、個人住宅の太陽光の比率は、全体のわずか6%で、そのほとんどが企業や投資家の設置している産業用の全量買い取りのメガソーラーです。

家庭用は10年、産業用などの全量買い取りは20年の買い取り制度ですが、昨年度の買い取り総額は2.3兆円となっており、産業用の全量買い取りが大半を占めている現状の中、このペースで推移していくと、ナント2030年には4.7兆円という莫大な金額が予測されております。

当然、賦課金も毎年増え続け、将来的に、kWあたり5円を超え、6円~7円になるのは必至の状況で、賦課金だけで年間10万円を超えるご家庭も出ることから、今後大きな社会問題に発展しそうな予感がします。

参考までに、日本がFIT制度導入の手本とされているドイツの現在の賦課金は1キロワット時あたり6.88ユーロセント(約7.9円)まで上昇しており、電気料金は日本の約1.7倍で、実に32万世帯もの方々が、電気料金未納により電力の供給をストップされているそうです。

通常、太陽光発電を住宅に搭載する場合は、10KW以下で日中発電した電気を使用し、余った分を売電する形が一般的です。

電力料金は段階性になっており、使用量に応じて単価は上昇しますが、太陽光パネルを設置して、自家使用すると一番高い単価での買う電気が減り、使用量が減った分の再エネ賦課金も減少します。

※ KWあたり34.19円の高い電気使用量と現在2.64円の賦課金が減少し、単純に、KWあたり36.83円ランニングコストが減少します。つまり売電するより、計算上6.83円得する計算となります。(電気を使用しない方が30円で売れるので、使わないのが一番ですが・・・)

そして、余った電気は、1KWあたり30円の単価にて売電する形となります。(新年度は28円)

売電と自家使用分の比率は、それぞれのご家庭により、変化しますが、発電量の20%~30%が自家使用分となり、5KWの太陽光の年間発電量は5500KW~6000KWですが、仮に最低の5500KWで試算すると

自家使用20%の場合ー1100KW  年間40,513円の軽減+売電額4400KW(132,000円)=172,513円
自家使用25%の場合ー1375KW  年間50,641円の軽減+売電額4125KW(123,750円)=174,391円
自家使用30%の場合ー1650KW  年間60,769円の軽減+売電額3850KW(115,500円)=176,269円

ソーラーサーキットの家の場合、120㎡(36.3坪)夫婦+子ども二人の月平均の光熱費は15,000円位ですので、年間18万前後となります。

つまり、ほぼ5KW以下の太陽光で年間の光熱費が賄える計算となります。

※ オール電化住宅の場合、時間帯別の料金体系となり、日中の3分の1と割安な夜間電力の比率が多いために、上記の計算以上のメリットが生れ、光熱費がゼロになった上に、おつりがくる場合も多いのです。

最近、売電単価が下がり設置するメリットは、少ないという方の話も良く聞きますが、産業用の全量買取は別にして、家庭用の場合は、少々的外れな意見とも言えます。

ご覧の通り、売電単価の低下とともに、システム単価も下がっており、投資に対しての回収年数は10年と変わらず、逆にコストが下がった分、今の方が効率が良いのがお分かりいただけると思います。

特に、弊社の場合は、太陽光も低価格にて提供しており、省エネ性能の高いソーラーサーキットの家との組み合わせにより、8年から9年で投資分を回収することが、出来ますので非常に有利となります。

※ 4.8KWの太陽光を150万円で設置して、売電と自家使用による軽減分を併せ年間18万のプラス収支で、利回りを計算すると、年12%の収益を生む計算となります。

例えば、断熱性のあまり高くないオール電化住宅を2000万円で建てた場合とソーラーサーキットの家に太陽光4.8KWを設置した住宅を比較すると、太陽光の設置費用を全額住宅ローンに組み入れても光熱費を含めた毎月の支払は、逆転してしまうのがお分かりになると思います。

※ 11年目以降の売電単価はKW8円とし、月々の光熱費は余裕をみて1万円として試算しております。

そして、この試算は、あくまで光熱費が現状維持での計算であり、断熱性能の劣化に伴う光熱費の上昇も加味していませんので、実質の差はもっと大きくなると思います。

これからは、住宅ローンに光熱費も含めた支払いを、生涯コストとして捉えた考え方も必要であり、見た目のコストに捉われることなく、家づくりを検討しなければいけない時代になってきたのです。

ただ、注意しなければならないのが、固定価格での買い取りが終了する11年目以降の売電価格です。

当初想定されていたのが、kwあたり11円でしてが、7円~8円という話を最近よく聞きます。

実際どうなるかは不明ですが、必要以上の太陽光を設置すると、後々後悔する可能性が高いということも考慮しなければなりません。

2019年問題はご存知でしょうか。これは太陽光の固定価格での買い取りが終了するユーザーが、出始める年度となります。

当然、売電単価も下がるわけですが、仮に10円を切るような形になれば、売るメリットは少なくなり、かといって無駄に電気を使う訳にもいかないわけです。

そこで、登場するのが蓄電池・あるいは電気自動車ということになります。

電気自動車については、後日またご説明させていただきますが、蓄電池の場合、まだコストが高く、非常用としての活用や夜間電力を蓄電しての使い方がメインとなります。

現在メーカーは、低価格での商品開発を進めており、どれだけ蓄電出来て、どこまでコストが抑えられるか期待したいところではありますが、発電した分を蓄電する容量の蓄電池を家庭に設置するのは、なかなか難しいのも現実ではないかと思います。

要するに、必要以上の容量を設置すると、後々、様々な問題に直面する可能性があるということも考慮した計画が必要なのです。

※ 省エネ住宅と謳いながら、気密や断熱性能がさほど高くないメーカーは、冷暖房費をうやむやにし、形だけゼロエネにする為に、太陽光の設置面積を無理に増やそうとして、極端な屋根形状の建物も大分見かける様になりましたのでご注意いただきたいと思います。