2018年2月19日
塗り壁で空気がキレイになるのは嘘?
こんな話をすると、あれこれ批判が返ってきそうですが、注意喚起ということでご紹介させていただきます。
漆喰や珪藻土などの自然素材を使用することで、さも健康住宅と謳っている住宅会社も多いのですが、塗り壁で空気がきれいになるわけではありません。
弊社でも、ご予算が許せば塗り壁を提案しており、塗り壁を否定しているわけではありません。
自然素材のもつ調湿効果やぬくもり・肌触りや優しさは、なかなかクロスでは味わえないものです。
しかし、塗り壁が空気を綺麗にするわけではなく、あくまで綺麗な空気の家に塗り壁を使うからこそ、その効果は発揮されるのです。
塗り壁の最大のメリットは、調湿性と、どこの会社でも言うと思いますし、確かに調湿性の優れた素材ではあります。
調湿性というのは、言うまでもなく湿気を吸ったり吐いたりすることですが、実際には、梅雨時や冬場の乾燥期に、長期間にわたり、湿気を吸収し続けたり、湿気を吐き続ける魔法のような塗り壁は存在せず、調湿機能に対して過度な期待は避けた方が賢明です。
そして、考えていただきたいのは、湿気を吸収するということは、湿気とともに臭いの元となる空気中のVOC(揮発性有機化合物)を吸着し、湿気を吐くということは、吸着した成分も放出するということです。
家の中には、建材や家具・カーテンのほかにも、消臭剤や合成洗剤・柔軟剤や防虫剤などの人口香料に含まれるVOCやカビや細菌から発生している微生物由来のVOCが空気中に揮発されており、日々の生活によっても様々な臭いは発生し、壁に吸着されることで、異様な臭いがする塗り壁の家も少なくありません。
現在、厚労省の定める室内のTVOC(揮発性有機化合物の総量)は、室内空気1立米あたり400μgが暫定の指針値になっていますが、ファンヒーターを1時間つけただけでも、指針値を上回ってしまい、その他のVOCも含めると、室内の空気のTVOC濃度がかなり高い家が非常に多いと指摘されています。
つまり、住宅の素材も大事ですが、日々使用する日用品から発生するVOCやカビや細菌・ハウスダストにも注意が必要で、常に新鮮な外気を導入し、汚れた空気を排出するための家の換気が一番重要となるということを理解しなければなりません。
塗り壁を多用している住宅でも、換気が不十分で、家のあちこちにカビが発生している住宅も多く、住宅会社に連絡しても、掃除や換気を徹底してください。とか防カビ剤のない自然素材なので、多少はしようがないと言われるケースが多いようです。
また、塗り壁をPRしている会社は、構造材や内装材にも無垢材をPRしていますが、含水率の高い物や安価な資材を使うと、建築後の地震や構造材や内装材のやせ・狂いによって、壁に隙間やクラックが生じ、美観が損なわれクレームになるケースが多いので、こうした部分の補修や費用についても、事前に確認しないと後々トラブルになりますので、ご注意ください。
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