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ZEH補助金の矛盾について理解しましょう

国の政策な流れもあって、ハウスメーカーが積極的に推進しているのが、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)ですが、各社ZEHのレベルもまちまちで、様々な矛盾を抱えているのが現状です。

そもそもZEH(ゼッチ)住宅とは、住宅の断熱性能を向上させ、空調・給湯・照明・換気(家電や調理は含まず)を省エネ性の高い高効率の設備にして、基準エネルギーの最低20%を削減し、かつ一次消費エネルギーを太陽光発電などの再生エネルギーによって、エネルギーを創りだし、収支をプラスマイナスゼロ以下にする住宅を指します。

※ 誤解している方も多いのですが、ZEHは、電気料金全てがゼロになるという事ではなく、あくまで、冷暖房・給湯・換気・照明(家電や調理は含まず)などの一次消費エネルギーと太陽光などで生み出すエネルギー収支をゼロ以下にする住宅となります。実際は、太陽光を必要以上に上げたり、冷暖房も全館冷暖房では間欠運転がベースで、ユーザーの節約志向も働く側面があり、光熱費がゼロになるケースも多いのですが、一応頭に入れておいてください。

ZEH基準を満たすには、いくつかの条件があります。

〇 UA値(外皮平均熱貫流率)を0.60W/㎡K以下とする。(改正省エネ基準は0.75)
〇 基準一次消費エネルギーから20%以上の消費エネルギーを削減
〇 太陽光発電などの導入により、基準一次エネルギーから100%以上の消費エネルギーを削減

つまり、使うエネルギーから創るエネルギーを引いて、プラスマイナスゼロ以下にするということになります。

そして、断熱性能やプランニングによって、大きな差が生じ、問題となるのが、太陽光パネルの設置容量となります。

設置容量を算出するためには、それぞれの建物のUA値(外皮平均熱貫流率)を計算した上で、室内を〇主たる居室〇その他の居室〇非居室と分類しなければなりません。

主たる居室は、キッチン・ダイニング・リビングとなりますが、リビング階段や吹き抜け・リビングに間仕切りがない場合の廊下やホールなども、主たる居室として算入しなければなりません。

そして、その主たる居室の面積に合わせ、エネルギー計算をするために、大きくなればなるほど、消費エネルギーが必要とされ、大きな容量の太陽光の設置が必要となります。

本来、断熱性能が高い家は、出来るだけオープンな間取りで開放的な暮らしの方によって、小さいエネルギーでも、効率よく家中が快適になるのですが、ある意味逆行しているかの基準ともいえます。

こうなると、主たる居室の面積を減らすために、LDKを小さくしたり、吹き抜けやリビング階段をやめたり、間仕切りの壁やドアを設置するなどの検討が必要になります。

また、間取りの調整が難しい場合は、太陽光の設置面積を増やすために、極端な片流れの屋根にするなどの、不合理ともいえる調整が必要となってくるのです。

上の画像をみてわかる通り、UA値が0.37とZEH基準を上回る性能の建物でも、オープンな間取りにすると9.0KWの太陽光が必要となり、リビングなどに間仕切りをつけただけで、6.3KWの太陽光でもOKとなるわけです。

しかし、実際のソーラーサーキットの家では、この程度の大きさの建物で4人家族の場合ですと、4.8KWの太陽光でも十分にゼロエネが可能となり、前回説明したように、必要以上の太陽光を上げるメリットが少ない現状の中、無駄なイニシャルコストとなるのです。

ZEH制度には、小さな建物だったり、立地条件が悪かったりで、ゼロエネにならない建物もあるために、75%以上を賄う、nearly ZEH(二アリー・ゼッチ)という基準が設けられております。

冷房負荷が少なく、平均C値0.46㎝という高い気密性能を実現したソーラーサーキットの家は、この二アリー・ゼッチでも、十分ゼロエネルギーが可能です。

つまり、ZEHを超えた本物のZEHともいえる建物であり、経年変化が少なく、長期間にわたりゼロエネになる建物だということをご理解いただければ幸いです。