2017年11月13日
無垢の木材からも揮発するアセトアルデヒド
以前も紹介したことがございますが、改めて紹介したいと思います。
皆さんは、アセトアルデヒドという化学物質をご存知でしょうか。
アセトアルデヒドは、ホルムアルデヒドと同様に、塗料や接着剤などに含まれており、頭痛やめまいを引き起こすシックハウス症候群の原因物質の一つです。
あまり知られていませんが、このアセトアルデヒドは、無垢の木材や自然系の塗料からも揮発される化学物質で、厚労省の指針値が定められております。
しかしながら、13の指針値に該当するVOC(揮発性有機化合物)にもかかわらず、複雑な事情が絡み、業界内では、触れられたくない話題の一つとなっているのがアセトアルデヒドです。
※ 複雑な事情を知りたい方は住まい塾へどうぞ!
巷では、多くの造り手が、無垢材や自然素材をふんだんに使い、空気の綺麗な健康住宅とPRしていますが、知らずに勧めている造り手も多く、無垢材や自然素材を採用しても、必ずしも健康住宅ないということをユーザー側も理解しなければなりません。
最近の研究では、木材に防腐剤や防蟻剤を注入すると、化学反応によってアセトアルデヒドが生成されたり、塗料の溶剤に含まれるエタノールや、湿気や結露による加水分解によっても発生することが分かってます。
こうした情報は、ほとんど表面化されることはないために、正しく理解している造り手はほとんどいないのが現実です。
下記の画像は、日本VOC協会による測定結果ですが、実際に空気測定をすると指針値をオーバーする確率が一番高いのも、アセトアルデヒドの成分となり、早急な対策が必要なのですが、おそらくは、何も進まないだろうというのが、私の考えです。
測定した現場での結果、4割もの現場で指針値をオーバーしているのです。
測定を依頼するのが、業者か建て主さんかは別にして、通常測定する前提であれば使用する資材や塗料についても、慎重になるはずですが、それでもこの結果なのです。
仮に無作為に測定したとするとどうでしょう?かなりの比率でNGとなるのではないでしょうか。
こうした背景もあって、一般の住宅で、室内のVOC濃度の空気測定が進まない大きな要因でもあります。
今回、弊社で内装材に松や杉を多用した現場にて、アセトアルデヒドの成分を測定しましたが、残念ながら結果は指針値オーバーとなりました。
ちなみにこの現場は、指針値0.03PPMに対して、0.04PPMとなり、僅かなオーバーで、時間の経過や適切な換気によって、健康への影響はないとは思いますが、
無垢材+自然素材=健康住宅
絶対、安心ではないということは、頭の片隅に置いて下さい。
無垢材や自然素材を多用する場合は、建築を依頼されるメーカーに、ホルムアルデヒドやトルエン・キシレンなどに加え、アセトアルデヒドの測定を依頼した上での採用が必要かと思います。
費用は4万~5万円位かかると思いますが、入居後に、シックハウスや化学物質過敏症を発症による様々なリスクを考えれば必要な検査だと思います。
VOC(揮発性有機化合物)や空気測定に関してご興味のある方は日本VOC協会のHPを一度じっくりご覧いただいてはいかがでしょうか。
- 社員ブログ