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換気のクレームが急増

2003年に施行されたシックハウス対策法によって、換気設置が義務化となり、14年を経過しました。

上記の画像は、換気方式の導入割合を示したグラフですが、相変わらず第3種換気(自然給気・機械排気)のシェアが高くなっており、第1種の熱交換換気(機械給気・機械排気)の普及率は30%にも満たないというのが現状です。(全国の割合ですので、宮城ではもう少し高い普及率だと思います。)

3種換気の割合が高い最大の要因は、何といっても導入コストで、義務化になったからとりあえずつけるという造り手が、未だに多いのです。

※ ユーザー側も、換気といえば、これまでは、レンジやトイレ・浴室にしかなかったこともあり、室内空気の重要性や計画換気への理解が不十分なのも要因の一つで、言われるがままに何となく3種を採用しているケースが多いのです。一方で換気が正常ならば不要ともいえる、消臭剤や芳香剤をはじめ、加湿機や除湿機・空気清浄器などの空気関連の市場は拡大しているから不思議なものです。

3種換気を勧めるメーカーは、メンテナンスが大変とか、ダクトにカビが生えるだとか、電気代がかかるとか、費用が無駄だとか、あれこれ理由をつけて3種換気にしてしまうのが通例です。
(ローコスト住宅や建売ではほとんど3種換気で、ノンダクトも多く、1種の熱交換にして下さいと言えば必ず多額の追加費用が発生します)

※ ハウスメーカーのモデルハウスでは、1種換気を当然のように設置しておきながら、実際に販売する住宅は、3種換気を標準にして、1種の熱交換換気はオプションというメーカーが、多いのが現状です。(ユーザーの換気に対しての考え方や予算に合わせて、勧める換気を変えているケースもあります。)

そうして、勧められるがままに3種換気を採用したユーザーのほとんどは、上記のように、寒さで大きな不満を抱くようになります。

※ 3種換気は、吸気口のために壁に穴を開けるため、冷たい空気も熱い空気も湿気の多い空気も、そのまま室内に導入するので、温度差のある冬や夏場は、室内への影響が大きいものになります。

その結果、給気口を閉じたり、排気側の電源をオフにしたりして、空気が汚れ、臭いがこもったり、結露の発生など様々な問題が生じてしまうのです。

さらに、場合によっては、寒さを解消するために、燃焼ガスと湿気を発生させる石油ファンヒーターを使う方もいるようで、益々空気が汚れ、結露も発生しやすくなるという悪循環を招いてしまうのです。

※ 3種換気を標準にしているメーカーの多くは、気密や断熱が不十分でエアコンではなかなか暖まらず、吹き出し口からの風が不快に感じ光熱費も嵩みます。

ご存知のように、結露は、日々の掃除も大変で、カビやダニの温床になりやすく、健康を害したり、臭いを消すために、消臭剤や芳香剤が必要となり、アレルギーやシックハウスの原因にもなります。

※ 弊社のお客様で、消臭剤や芳香剤を多用している方はいらっしゃらず、拙宅でもファブリーズはありますが、飲み会などで、タバコや焼き肉などの臭いのついた洋服に使用するために、あるだけで、トイレにすら芳香剤は置いていません。

特に最近では、洗濯物を家干しする方も多く、香りの強い柔軟剤を使う方が増えていますが、柔軟剤に含まれる有害物質によってご家族や周囲の人にも影響を与え、香害として、大きな社会問題にもなってきており、建材の化学物質より、これら室内に充満する化学物質によって、シックハウスを引き起こし、やがては化学物質過敏症を発症させるとの話も良く聞かれます。

実際、弊社では法規制前より、換気システムは標準採用しており、ソーラーサーキットにも、3種換気は用意され、20年ほど前までは、1種換気と併用して採用していた時期がありましたが、お客様からの不満も多く、APなどの物件を除き、一種換気に全て切り替えました。

3種換気は、関東以南の地域であれば、さほど問題にはなりませんが、宮城のような寒冷地では、後々、寒さによって様々な問題が発生するのは間違いなく、熱交換機能のついた1種換気が必需なのです。

掃除が面倒という方も中にはおりますが、月1,000円程度の電気料で、大事な空気の守り役としての役目を果たし、綺麗な空気の中で健康に暮らす為には必要な作業となります。汚れの程度にもよりますが、3、4ヵ月に1回、僅かな時間で作業が済みますのでよろしくお願いいたします。

※ 人間が摂取する物質の中の重量比を比較すると、室内の空気の比重が一番大きく、一人があたりの必要な空気量は、二酸化炭素の濃度が基準にし、、健康に害を及ぼさないとされる濃度1000PPM以内にするには、1時間あたり約30立米の換気量が必要とされ、室内の空気が2時間に1回の換気量が求められています。

※ モデルハウスでは、換気が正常に働いているかの確認も兼ね、二酸化炭素の濃度計も設置しております。

また、最近では、コストを抑え、寒さのクレームを解消するために、1種換気のノンダクト式換気を勧めるメーカーもありますが、そうしたメーカーは、結局は、導入コストや工期・施工の面倒さを敬遠するために、穴を開けて配線するだけで済むノンダクトを勧めるだけであって、メンテナンスを考えれば、何台も設置しなければならず逆に面倒といえますし、1台で時間当たり50立米もの負荷がかかることで、音や換気効率からいっても、後々問題が生じ、オフにしたり、弱運転にしなければならないことを理解しなければなりません。(同時給排も出来ず、熱交換率の高さも弱運転の場合となっています。)

そして、あえて付け加えさせていただければ、こうしたメーカーの多くは、室内空気には基本的に無頓着で、換気を正常に働かす為の気密の重要性すら、ほとんど認識していないのも現実です。

※ 上記のグラフの通り、気密が1.0を超えると、漏気量が一気に増加し、換気を作動しても、周囲の隙間から空気を呼び込みます。つまり外の空気を引っ張って、また外に排出する形になるので、家の空気は換気されにくいのです。

おそらくは、使わない部屋は、消して光熱費も抑えられますと勧めてくると思いますが、消したりつけたりでは、必要な換気量が確保できず24時間換気の意味がなくなってしまい、消したままの状態が続けば、空気が滞留し、換気内部にカビも発生するので、カビの胞子をまき散らすことにもなり、アベコベの話になってしまうのです。

※ 弊社では、換気が義務化となる前から、1種換気を標準にし、これまで1000棟以上に1種換気を設置しておりますが、皆さんが空気環境の良さに満足され、ダクト内のカビなどの問題は発生しておらず、未だに交換したケースもありません。(ノンダクトであれ、ダクト式であれ24時間換気はその名のとおり、連続運転が基本となり、空気が常に動いていればカビなどの心配はありません。

そして、一番問題なのが換気を壁に設置するのは、よほどオープンな1LDKや2LDKの家でなければ効果は発揮するのは難しく、居室数や間仕切りの多い家に、3.4台設置した位では、換気のショートカット(経路の乱れ)を引き起こし、建物の隅々まで換気するのは、非常に困難となり、はっきり言って、換気が悪いうえに、臭いのこもる家になるのが必然なのです。
(廊下やウォークイン・階段室・家事室・書斎・玄関収納など)

そもそも、1種のノンダクトの換気が、計画どうりの換気性能を発揮するには、気密性能を0.5以下にしなければなりませんが、私の知る限り、3種換気やノンダクトを採用しているメーカーで、全棟気密検査を実施し、C値0.5以下の気密施工するメーカーはないと思います。

※ 気密が悪いということは、穴の開いたストローで、なかなか上手く吸えないのと同じです。

弊社でも、天井に無垢の梁を表しにしたいとか、コストを抑えて天井高を2700にするためや、小屋裏や地下室部分の局所換気として、ノンダクト換気を採用するケースも多少ございます。

※ ダクト式の換気は配管用に天井裏にダクトスペースが必要ですので、天井の梁表しにするとダクトスペースがとれません。

もちろん、弊社の家は、平均0.5というC値ですので問題は少ないのですが、空気の淀みをなくし家の隅々まで換気するには、換気経路を考慮したプランニングも必要になります。

ノンダクトを製造・販売しているメーカーとしても、商品構成の最上位に位置しているのは1種のダクト式の熱交換換気です。あくまでノンダクトは、一昔に流行したロスナイ換気の延長で、コストを抑えて熱交換機を導入したい場合や、リフォーム用の換気として販売しているということをご理解下さい。

※ 適切な換気設計にもとづき、高い気密性能と確実な断熱工事を実施し、メンテナンスを行えば、冒頭に紹介したご不満のほとんどは解消いたします。