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マウスの実験でわかる木の家の良さ

以前に、住まいと健康に関するセミナーで、あのマウスの実験で有名な有馬教授のお話を直接お聞きしました。

有馬教授は、現在東京大学の名誉教授ですが、静岡大学に在籍していた当時に、木、金属、コンクリートという3種類の箱をそれぞれ10箱ずつ使い、マウスの飼育をしてその生態を観察するという実験を行いましたが、その結果はあまりに衝撃的なものでした。

この話は、業界歴の長い方は知っている有名な話ですが、改めて紹介したいと思います。

箱は、縦30cm、 横17cm、深さ11cmの物を使用し、しばらく、オスとメスを別々にそれぞれの箱の中で飼育し、その後オス、メス一緒にして、子供を産ませたそうです。

そして、生まれてきた子マウスの23日間における様々な生態を実験しました。

木の箱で育った子マウスの生存率は85.1%で金属の箱は41%、コンクリートの箱ではなんと6.9%の生存率だったそうで、コンクリートの箱の場合、130匹生まれてきた子マウスが9匹しか生き残りませんでした。

また、子マウスの体重の変化は、

         5日後 10日後 15日後 20日後
木製     2.5g  5.2g   7.0g  12g
金属      2.2g  4.3g  6.2g  8.2g
コンクリート  2.2g  4.1g  5.6g  7.4g

となり、木製の箱のマウスが発育が良好という結果となりました。これは、木以外の素材はマウスの体温が奪われるために、母親マウスが体温を維持するために動き回り、授乳時の腹ばいになる時間が短く、栄養不良になったのではないかということでした。

開眼日(目が見えるようになる日数)は、木製の箱は15.6日・金属の箱は18.1日・コンクリートの箱は17.9日でした。

また、マウスを解剖して、臓器の発達がどの位かを量ったところ、子宮の平均重量では、木製の箱は31.66mg、金属の箱は14.36mg、コンクリートの箱は11.53mgという結果になったそうです。

そして、この実験では、こうした肉体的な差ばかりではなく、精神的にもかなりの差が生じたそうで、木の箱で育った母親マウスは子供を育てようという母性心が、ちゃんと働くそうですが、コンクリートや金属の箱で育った母親マウスは、子供マウスをしっかり育てようとせずに、しかも弱った子供マウスを食い殺してしまうという凶暴な母親になってしまったそうです。

この実験は、あくまでマウスの場合で、人間にそのままあてはまるものではありませんし、実際の建築では素材の他、断熱材や内装材がプラスされます。

そしてこれは、素材をそのまま使用した場合の結果であり、木材の持つ熱伝導率の低さや湿度調整が、他の材質と比べて優れていたためこのような結果になったと言われています。

昨今、木造校舎が見直されつつありますが、多くの幼保・小・中学校はコンクリートや鉄骨の校舎が多く、そこで学ぶ子どもや、教える先生方のイライラやストレスは木造の校舎よりも多いようで、アレルギーはもとより、キレやすい現代の子供は、こんな影響もあるのかもしれません。

人間の波長に合った素材はやはり木ではないでしょうか。