2019年3月15日
木材を長持ちさせるにも外断熱が最適
木の魅力は様々ありますが、反面デメリットも当然ございます。
私が日頃から感じている木の大きなデメリットは、2つあります。
それは、木の収縮による痩せや狂い・割れなどから生じる寸法の変化や強度の低下です。
ただこうした問題は、乾燥技術の発達や集成材などの品質向上によって、ある程度は抑えられる問題でもあります。
しかし、どうしても障害となるのが、日本の高温多湿という気候風土がもたらす湿気や、冷暖房によって、室内外の温度差が生じることで、必然的に高湿の状態になり、発生しがちな内部結露の問題です。
たかが結露という認識を持つ方もまだまだ多いのですが、ガラス面などの表面結露は、とりあえず拭けばいいのですが、目に見えない床下や壁・小屋裏に発生する内部結露は、構造に確実にダメージをもたらし、結果的に、日本の住宅を短命にしているということを正しく理解している方が非常に少ないのです。
木は、正倉院や法隆寺の例を挙げるまでもなく、乾燥状態を保てば高耐久な素材です。
しかし、木は、湿気つまり水には弱く、断熱材や建材に囲まれた躯体内の木材は、呼吸も出来ずに、湿気や結露によって、腐食したり、シロアリによる食害を受ける危険性が高まり、築30年も持たずに、建替えを余儀なくされているのが現実なのです。
現在、住宅の劣化対策として、採用されているのが、室内の水蒸気が壁体内への侵入を防ぐ防湿フイルムによる高気密化と薬剤を注入した防腐木材や木部への薬剤の塗付です。
気密に関しては、気密が不十分な住宅も多く、仮にとれていても、将来の経年劣化が問題となります。
そして、防蟻や防腐薬剤については、構造内部の環境下で、効力が何年持続するのか、健康への影響はないのかなどは、正直誰もわからないというのが現状です。
また、新築当初は薬剤による防カビの作用がはたらきますが、時間の経過によって、効力も薄れ、構造内部のカビの発生は免れません。
湿気の影響を受けやすい夏場に、カビ臭い家も見受けられますが、室内のカビばかりでなく、構造内部の発生しているカビの影響が少なくありません。
こうした環境下で、日々暮らしていくことは、免疫も高く元気なうちはともかく、アレルギーや喘息など呼吸器系の疾患にもつながり、肺機能が低下する高齢者にとっても肺炎などを発症するリスクも高まるのです。
ソーラーサーキットの家では、外断熱と二重通気によって、寒さや暑さ・湿気を構造の外側で遮断し、かつ壁体内にも通気性を確保することで、常に空気に木材を触れさせ乾燥状態を保つ独自のシステムです。
断熱性と通気性という相反する性能を合わせ持ったソーラーサーキットの家づくりは、日本の気候風土を考慮した非常に理にかなった工法で、木造住宅を防蟻剤や防腐剤に頼ることなく、次の世代に価値ある資産として引き継げる長寿命の住まいです。
日本の悪しき習慣とこれまでの長い日本の家づくりの歴史の中で、まだまだ外断熱の普及率は、低いのが現実ですが、木造住宅の長寿命化には、通気性を確保する外断熱が必須であることは明白であり、木材を断熱材で囲んでしまう内断熱は、将来何かと弊害が生じるのは紛れもない現実です。
一般のユーザーの方々はもとより、設計者や建築業者の意識も変わってくることを心より願って、これからも、私なりに啓蒙に努めて参りたいと存じますので、何卒ご理解とご協力をお願い申し上げます。
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