2018年7月14日
NHK「てれまさむね」で化学物質過敏症特集
昨日のNHKの「てれまさむね」の特集「化学物質過敏症」をご覧になったでしょうか?
取材を受け出演された「化学物質過敏症患者会‐ぴゅあぃ‐」の代表でもある佐々木さんによると、記者が素晴らしい方だったそうで、非常に分かりやすくとてもいい番組でした。
※ NHKのHPに番組動画が紹介されていますので是非ご覧ください。
https://www3.nhk.or.jp/tohoku-news/20180713/0001976.html
弊社では、月に一度社員が集まり、「到知」という月刊誌を読んだ感想を発表する「木鶏会」という場を設けているのですが、化学物質過敏症について、発表した内容を紹介させていただきますので、よろしければお付き合いください。
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「道なきところに道をつくる」を読んで
去年の一月、お付き合いのある化学物質過敏症患者の会「ぴゅあい」さんの主催で、「いのちの林檎」という化学物質過敏症に苦しむ人々の真実に迫るドキュメンタリー映画の上映会がありました。会社でも協賛させていただいたのですが、その中で紹介されていたのが、この対談記事に登場する木村さんが、10年もの長い歳月をかけ、苦労に苦労を重ねてつくり上げた無農薬・無肥料のリンゴ畑でした。
映画の内容は、何も食べられないほどの重症の主人公が木村さんが無農薬で栽培したリンゴを食べることで、命を繋ぎとめたいうものでした。
人の健康には、水・空気・食の安全が重要ですが、私達は、日々の暮らしの中で忘れられがちになっているのも現実です。
現在、国民の2人に1人が何らかのアレルギーを持っていると言われていますが、とりわけ深刻なのが、化学物質過敏症という病気です。
この病気は、飲料水や食料・空気から、日々体内に取り込んでいる化学物質の総量が、自身の許容量を超えた時に、ある日突然に発症する病で、重症化すると日常の生活が普通に送れないほどの辛い病気です。
普通の人が反応しない臭いにも、身体が反応し咳や嘔吐・めまいや痙攣・意識障害など引き起こすために、人がいるところではまともに呼吸すら出来ず、コンビニやスーパー・銀行へも行けなくなるのです。
現代のシックハウスとも言われており、昨今、香害として大きな社会問題になりつつありますが、化学物質に依存した現代に生きる私達にとって、今は大丈夫でも、いつ、誰が発症してもおかしくない病気です。
特に免疫が未発達の乳幼児や小さなお子さんは、体重比で大人の倍以上の空気を呼吸によって取り入れており、十分な注意が必要です。
現在、国内で100万人以上いるとされる化学物質過敏症の患者(CS患者)ですが、多くの人は化学物質過敏症という病気の存在すら知りません。
またこの病気を正確に診断できる医師も、ごく少数しかいないのが現状で、誤った診察によって、薬を投与され、さらに重症化する患者も少なくないのです。(薬も立派な化学物質です)
また、発症しているのに病名が分からないという「潜在患者」や、将来、発症する可能性がある「予備軍」は、1,000万人以上とも言われ、病気についての正しい知識が必要で、タバコの煙の受動喫煙同様、こうした香りに悩み苦しんでいる人が大勢いるということを理解し、配慮した生活行動も必要なのです。
この化学物質過敏症は、消臭剤や芳香剤・柔軟剤や合成洗剤・制汗剤や香水・殺虫剤や防虫剤など、私達が日常使用する、生活用品に含まれる化学物質が大きな原因とされています。
そして、家の造り手として、私達が真剣に考えなくてはならないのが、こうした日用品をなぜ大量に使わなければならなくなったのかと言うことです。
巷では、行き過ぎた香ブームなどとも、言われていますが、結局は、家の気密・断熱・換気・冷暖房のバランスの悪さにくわえ、経済が優先される社会の中、不満や不便を解消するかのような商品が次々と開発され続け、室内の空気環境の悪化に拍車をかけているのではないでしょうか。
化学物質過敏症はもとより、喘息やアトピー・シックハウスにしても、アレルギーの多くは、とりわけ家の温度差や換気の悪さがもたらす湿気や結露・そしてカビやダニの影響が大きく、これらがもたらす問題を解消するために、こうした日用品に頼りざろう得ない暮らしを多くの人々が強いられており、無意識のうちに使わされているという悩ましい側面もあるのです。
そして、その日用品の中でも、特に問題視されているのが、消臭剤のイヤな臭いや柔軟剤や防虫剤に含まれる香り成分を、包み込み香りを持続させるというマイクロカプセルの主成分であるイソシアネートという化学物質です。
イソシアネートは、欧米各国で、かなり前から問題視されているのですが、日本では何ら規制されずにいます。
現在も、多くの商品に使われているポリウレタンの主原料がこのイソシアネートで、住宅業界でも、ホルムアルデヒドを含まない安全な材料として、広く普及しており、最近では、グラスウールの欠点を解消する断熱材として、充填断熱の現場吹付用資材としても、大分流通しているのです。
どの程度、健康に影響するかは、個人差もあり何とも言えませんが、少なくとも乳幼児や小さなお子さん、アレルギーのある方は注意が必要で、家の中がイソシアネートに囲まれて、健康に暮らすことが出来るのか、非常に危惧しているところです。
イソシアネートの話は長くなるので、省略しますが、つまり、これ以上患者を増やさないためにも、家の温度差をなくして、湿気や結露を解消し、適切な換気によって、室内の空気の清浄さを保てば、こうした日用品の多くは、必要なくなり、使う場合でも最小限に抑えることが出来るわけで、私達が取り組んでいる、温度・湿度・新鮮さという空気のバリアのない家づくりが、この世に強く求められているのです。
話は変わりますが、海外から輸入される農作物のポストハーベスト(収穫後に使う農薬)がよく問題視され、日本では原則禁止されていますが、耕作面積あたりの農薬使用量は、世界で3番目に多く、アメリカの7倍も使用しているのをご存知でしょうか。(1位中国・2位韓国)
さらに、国内で認可されている食品添加物は1300種類以上あり、世界一と言われていますが、遺伝子組み換え作物(GM作物)を一番輸入いるのもこの日本です。
どこの家庭でも、納豆や豆腐は遺伝子組み換えではないという表示のある国産大豆を使用した物を食べていると思いますが、流通している食用油で、国産表示のないものは、ほとんどが遺伝子組み換えのトウモロコシや大豆・菜種が使用されており、その表示義務もありません。
また加工食品やお菓子・調味料は、原料の上位5物質かつ5%以内であれば遺伝子組み換えの表示義務はなく、知らず知らずのうちに大量のGM食物を摂取しているのです。
今後、TPPやアメリカとのFTAが進み、農産物や肉・魚・様々な加工食品が大量に輸入されるわけですが、食料自給率の低下にともない、食の安全が益々脅かされていくのは必至で、安さや便利さのつけは、確実に私達に跳ね返ってくるという認識も必要です。
もちろん、化学物質や農薬にしても、添加物にしても、GM作物にしても、全く取り入れない生活は、到底無理な話であって、あまり神経質になってもしようがない側面もありますが、中には、かなり危険視されている物も多く、知らず知らずの内に取り入れ、子どもや家族を病気にするのだけは、避けなければなりません。
結局、何事も自己責任という考え方が必要で、私達消費者も、CMや流行に流されず、正しい知識や確かな目を養っていかねばならないのです。
また、「すべてはミツバチが知っている」という記事も非常に印象深いものでした。
ミツバチがネオ二コ系の農薬によって激減しているというものですが、ミツバチが地上から姿を消すと野菜や果物の受粉がストップし、人類は4年以内に滅びるそうです。
そして、このネオ二コ系の農薬の危険性は、欧米各国で問題視され、使用禁止や厳しい制限が次々課せられているのですが、日本では未だ規制されていないのが現状です。
農薬や殺虫剤・除草剤はもちろん、住宅建材に含まれる防虫剤や防蟻薬剤の多くに、このネオ二コ系の薬剤が使用されており、あの〇〇さんの断熱材や木材にも大量に使用されているのです。
喘息やアトピー・花粉症などのアレルギーも、シックハウスも化学物質過敏症も、こうした様々な複合的な要因が重なり、発症してしまうので、原因の特定は難しく、対処も困難です。
そして、食品は体内で、ある程度デトックス作用がはたらきますが、空気中のガス状のVOC(揮発性有機化合物)は、一旦体内に取り込まれるとなかなか排出できず、蓄積してしまうとも言われています。
基本は、出来るだけ使わない・摂取しない・湿気や結露を防ぐ・常に換気する・そして、バランスのとれた食事をとって、適度な運動をして、ぐっすり眠って、自身の免疫力を高めるしかなく、そのためにも、一番多く呼吸をする室内の空気環境が何より重要なのです。
最後に、「道なきところに道をつくる」の中には、リンゴ農家木村さんの食に対する国民の意識を変えるという熱い想いが、延々と綴られていました。
私達も、空気環境と温熱環境にこだわり、住み心地や健康という目に見えない価値を重視した家づくりに長年取り組んできました。
しかしながら、この国の悪しき習慣によって、まだまだ家の室内環境と健康についての正しい理解に基づいた家づくりが、ほとんど浸透されていないのが、この業界でもあります。
これもある意味、世の中の住まいに対する国民の意識を変えるということに繋がるのではないでしょうか。
空気がキレイで温度差のない「住み心地のいい家」をこの世に広めていくことは、現代病とも言われるアレルギーはもとより、急速に高齢化が進む中、健康寿命を伸ばすことは、国民医療費の削減や介護問題、そしてエネルギー価格の上昇や環境問題も含め、社会的にも非常に意義あるものだと私は確信しています。
私達は、ZEH(ゼロエネルギーハウス)とZAH(ゼロアレルギーハウス)という二つのゼロを目指した家づくりに今取り組んでいます。
一人一人が信念を持って、外断熱の家づくりに取り組んでいくことで、世の中も変わっていくのです。
今回、木鶏会の主旨とは外れた発表になったかもしれませんが、これからも、空気のバリアのない住み心地のいい家づくりに邁進し、全員で、道なき所に道をつくっていきましょう。
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