2018年7月7日
外と家の中の湿度を比べると防露(気密)性能も見えてくる
雨が続き、空気中の水蒸気の話がとてもわかりやすい環境なので、投稿させていただきます。
県内では、昨日から小雨が降り続き、多少温度は違うと思いますが、10時現在の温湿状況は、
概ね20℃前後で湿度は95%位だと思います。
この外の環境と、家の中の温湿状況を比較すると、色々なことが見えてきます。
室内の温度は、家の断熱性能や生活熱の発生具合の違いもあるので、まちまちだと思いますが、さすがによほど寒い家でなければ暖房は使っていないと思いますので、自然室温で、概ね22℃~26℃位ではないでしょうか。
室内の水蒸気は、外の水蒸気量と基本的には同じ位になりますが、室温によって含むことの出来る量が変わるので、湿度は変わってきます。
外が20℃で95%の湿度ということは、上のグラフのとおり、空気1立米に17.3gの水蒸気を含めて、95%になっているということですので、17.3g×0.95=16.43 となり、外の空気1立米中に含まれる水蒸気量は約16.5gとなります。
この16.5gという水蒸気量が、家に取り込まれているので、室内に含まれるベースとなる水蒸気量となります。
それでは、室温の違いによって、湿度がどうなるか簡単に説明します。
22℃の場合は、16.5÷19.4=85%の湿度
23℃の場合は、16.5÷20.6=80%の湿度
24℃の場合は、16.5÷21.8=75.6%の湿度
25℃の場合は、16.5÷23.1=71.4%の湿度
26℃の場合は、16.5÷24.4=63.4%の湿度
となるのですが、皆さんのお宅の室温と湿度はどうなっているでしょうか。
通常、室内の湿度が高くなるにつれて、室内の水蒸気は、床や壁・天井などの建材や家具やカーテン・ソファや洋服・寝具などあらゆるものに吸湿されるので、概ねこの湿度より5%から10%前後低いのが標準的な住まいとなります。
※ 湿度の高い状態が続くと、吸湿性は機能せず、湿度は変わらなくなってきます。
しかし、家の隙間の大きい家は、床下や壁の中・小屋裏やサッシの隙間から、湿気が入り込んでいるために、ほとんど変わらないのです。
湿気は、常に同じ量になろうとするために、水蒸気量の多い所から少ないところへ移動するはたらきを持っているので、このようになるのですが、おもしろいことに外と室内の水蒸気量が同じになると、水蒸気の移動は止まり、逆に室内の水蒸気量の方が多くなると、多い分の水蒸気は外に向かって移動するのが不思議なとこです。
話を戻しますが、実際には、このベースとなる外の水蒸気にくわえ、人の呼吸や発汗・炊事や洗濯などでも多くの水蒸気が発生しているのが、人が暮らしている住居となります。
生活で発生する水蒸気は、適切に換気されていればさほど湿度は変わらないのですが、換気を忘れていたり、つけていても機能しないと、発生した水蒸気は室内に滞留し、ベースとなる湿度を上回っている家も、少なくないのです。
特に、除湿や換気もせずに、家干しなどしていると、間違いなく高湿度の状態になっているのです。
いずれにしても、この時期、一番大事なのが換気となり、二番目は湿度調整です。
室内の湿度は、どんな室温であれ最低でも70%台前半にすることが重要です。
湿度が、75%から80%を超えるようになると、当然カビも急激に生えやすくなるのですが、さらに上昇すると、床下や壁・天井はもちろん、家の中にある全ての物に含まれる有機物や化学物質などの成分の揮発や拡散が進み益々空気が汚れ、建物にも人の健康にも大きな影響を及ぼすということをご理解下さい。
※ 洗濯であれ、塩抜きであれ、水につけると様々な成分が溶け出すのと同じで、湿気によって、加水分解の力が働くのです。
そして、換気を疎かにして、除湿器や空気清浄機・消臭剤に頼る暮らしだけは、百害あって一利なしです。
ただちに健康に影響するものではありませんが、くれぐれもご注意いただきますようお願いいたします。
- 社員ブログ