2020年12月8日
木造住宅と外断熱の相性の良さ
木は、正倉院や法隆寺の例を挙げるまでもなく、乾燥状態を保てば高耐久な素材です。
しかし、湿気つまり水には弱く、断熱材に囲まれた木材は、呼吸も出来ずに、カビや腐朽菌が発生し、シロアリの食害を受ける危険性が高まり、築30年も持たずに、建替えを余儀なくされているのが現実です。
現代の住宅の劣化対策は、防湿フイルムによる高気密化と薬剤を注入した防腐木材や木部への薬剤塗付・基礎パッキンでの床下通気や防湿コンクリートでの湿気対策が主です。
しかし、防蟻や防腐防カビの薬剤については、構造内部の環境下で、効力が何年持続するのか、健康への影響はないのかなどは、正直誰もわからないというのが現状です。
夏場にカビ臭い家が多いのも、室内のカビばかりでなく、構造内部のカビの影響が少なくありません。
そして、カビの臭いを解消するために消臭剤や芳香剤を多用したり、虫も発生しやすく防虫剤や殺虫剤が必要になるのです。
こうした環境下で、日々暮らしていくことは、アレルギーの発症や喘息など呼吸器系の疾患にもつながり、免疫や肺機能が低下する高齢者にとっても肺炎などのリスクも高まるのです。
ソーラーサーキットの家では、外断熱によって、寒さや暑さ・湿気を構造の外側で遮断します。
つまり、これまで家の外部空間とされていた床下や壁の中・小屋裏にいたるまで、室内という捉え方となり、室内環境に近い状態が維持されるのです。
さらに、床下から小屋裏まで空気層をつくり、壁体内にも通気性を確保することで、木材は常に空気に触れており、いつまでも乾燥状態を保つ独自の技術なのです。
日本の悪しき習慣の中、まだまだ外断熱の普及率は、低いのですが、木造住宅の長寿命化には、通気性を発揮する外断熱との相性がバッチリだということをご理解いただければ幸いです。
- 高橋一夫