2018年5月21日
湿度のコントロールで健康な暮らしを
日本人は、昔から湿気に対して、ある程度、順応性はあるものの、梅雨から夏の時期は、体調を崩す方も多いと思います。
気温や気圧の変化が大きい時期になりますが、何より注意したいのが湿度となります。
湿度が70%から80%を越えるようになると、微生物の活動が活発になり、カビも発生しやすく、カビを餌にするダニが繁殖してしまいます。
こうしたカビやダニが、人の健康にも悪影響を与えてしまうのですが、カビはもとより、特にダニの死骸やフンは、アレルギーの一番の原因になるので、出来るだけ繁殖を抑え、日々の清掃を心掛けることが重要です。
また、室温や湿度が高くなることで、室内の建材や家具・カーテンに含まれるVOC(揮発性有機化合物)や壁や床・ソファーなどの布製品に染み付いた臭い成分や有機物なども、揮発されやすくなるのということも理解しなければなりません。
酸化のスピードが速まり、果物や野菜などが早く傷みますが、酸化は、室温や湿度・光の影響が大きいのです。
人は、呼吸や汗によっても、1時間に起きてる場合は、約100グラム・寝ている間でも50グラムの水蒸気を発していると言われています。
そして、汗もまた皮膚表面の常在菌によって分解されたり、酸化による化学反応によって、人が由来する有機化合物を発生させているのです。
こうして、冬以上に、これからの季節の室内空気は、知らず知らずのうちに、様々な汚染物質で蔓延されてしまうわけですが、昨今のシックハウスは、カビや細菌といった微生物が由来する揮発性有機化合物「MVOC」によって引き起こされ、喘息やアトピーなどのアレルギーの発症率も高まることが、明らかになっているのです。
しかし、病を発症しても、様々な要因が重なり、原因の特定は困難なことから、薬によって症状を抑えることしか出来ないのが現状で、医療ジプシーと呼ばれる病院を何か所も変える患者が多いのも、アレルギー症状と言われています。
結局は、もとの原因と思われる要因を一つ一つ取り去ることが、重要で、住環境や生活スタイルを見直し、室内の空気質そのものを、改善しなければ、なかなか完治することは難しいのです。
今日の住宅は、生活スタイルの変化や換気不足もあって、戸建て・マンションとも、非常にダンプネス(室内の高湿度環境)住宅は増加しています。
ダンプネスをもたらす原因としてあげられるのが
〇 高温多湿という日本独特の気候風土
〇 室内外の温度差による結露(冬と夏の壁体内結露も含む)
〇 石油ファンヒーターや過度な冷暖房
〇 換気不足や清掃の不備
〇 大量の洗濯物の室内干し
〇 加湿器や観葉植物
その他にも、水はけが悪かったり、風通しが悪い立地や、雨漏り・配管などの漏水などが挙げられますが、家の性能と暮らし方を変えるだけで、ダンプネスの状態は、ほとんど解消することか可能です。
問題なのは、家の中の湿度が高くなりすぎると、家の中は、汚染物質の揮発とカビ臭で、臭いがこもり、消臭剤や芳香剤を多用したり、衣類害虫や蚊・ハエなどを駆除するための防虫剤・殺虫剤や汗を抑えるための制汗剤や香水なども必要となります。また洗濯物の乾きも悪くなり、生渇きの嫌な臭いを抑えるために、必要以上の合成洗剤や柔軟剤を使うようになってしまうのです。
最近、香害が社会問題になりつつありますが、こうした日用品によって、化学物質過敏症の患者が急増し、多くの方々が苦しんでおられるのです。
このように、家のダンプネスは、負の連鎖による悪循環を引き起こしてしまうのです。
さらに、湿気や結露によって、木材の腐朽菌やシロアリの蟻害を誘発してしまい、家そのものの耐久性も著しく低下してしまうという認識も必要です。
冬の乾燥時期には、インフルエンザの予防や肌荒れ・喉の乾燥を防ぐための加湿対策が、とかく叫ばれますが、ダンプネスがもたらす健康被害や環境破壊・建物の劣化も含めた経済的損失は、遥かに大きいのです。
家の中を湿らせない・床下や壁の中・小屋裏を湿らせないということが、住む人と建物の健康をいつまでも守るのです。
気密と断熱性能を高め、過度な冷暖房を控えつつ、家の中の温度差をなくし、換気や除湿を心がけ、冬期間でも40%前後・夏場でも60%前後に湿度をコントロールすることで、湿気や結露によるダンプネスは解消するということをご理解いただきたいと思います。
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