2020年12月28日
家づくりにもインフォームドコンセント
ブログをご覧いただいている方々から、様々なご相談や質問を頂戴するようになりました。
メールを頂戴するのは、弊社のお客様や検討中のお客様の他に、他社でお建てになったお客様からも多く、結構悩ましい相談や質問を受ける場合も多々あります。
そうした方々の、ご相談の多くは、新しい家への期待と現実とのイメージギャップが大きな原因ですが、造り手の説明不足と住まい手側の理解不足によって、もたらされるものがほとんどです。
住宅に限ったことではありませんが、この世に流通する商品やサービスには、メリットとデメリットがあり、豪華な展示場やカタログ、営業マンの巧みなセールストークからは、隠されたデメリットはなかなか見えてこないものです。
ブランドやイメージ、見た目のデザインや価格などに左右されず、 建ててから一番大事な「住みごこち」に直結する「隠された真実」を見抜く、確かな目と知識を持たなければ、心から満足できるマイホームにはたどり着くことはなかなかできません。
特に注意が必要なのが、家の住み心地を大きく左右する温熱環境や空気環境です。
どこのメーカーも、こぞって最高等級とPRしていますが、実際は、最高というのは名ばかりで、最低限必要なランクになっており、ここが住んでからのイメージギャップが生まれる最大の要因です。
そして、家そのものの断熱や空気性能について、キチンと確認せずに建ててしまったユーザーが、非常に多いということで、ある意味自己責任と思われるケースも少なくないのです。
床や壁・天井の断熱材の種類や厚み・Ua値やQ値・気密検査の有無やC値・換気の種別・防蟻工事の内容や構造材の良し悪しなどほとんどわからない方が実に多いのです。
そして、室内の温度や各部屋の温度差・湿度・冷暖房の使い方や光熱費の目安なども説明を受けていないケースがほとんどです。
医療の現場では、インフォームドコンセント(十分な説明と合意)が今や常識です。
インフォームドコンセントとは、「医療を提供するに当たり、リスクなどについても、適切かつ十分な説明を行い、患者さんの理解と協力を得るよう努めた上で、合意に基づいた医療行為をしなければならない」という概念で、医師のみならず、看護師や薬剤師の方々にも求められています。
こうした概念は、家づくりにおいても必要ではないでしょうか。
営業マンの耳触りのいい言葉だけを鵜呑みにしてしまい、知らない・知らされないままに家を建てるということは、何も確認せずにお医者さんに難しい大手術やガン治療を委ねるのと同じことだと思います。
電化製品や衣料品などとは違い、家は最低50年は住み続けならず、基本的にやり直しはきかないということを真剣に考えていただきたいのです
特に、身体機能や免疫が未発達の子供たちにの健全な成長を図るためにも住環境は非常に重要です。
そして、人間誰しもが年老いていくわけで、免疫が急激に低下していく60代以降の住環境が、老後の健康にも大きく影響するのです。
マイホームを検討している方に伝えたいのは、省エネで快適にそして健康に暮らし、家を長持ちさせるには、これまでの住まい方も変える必要があります。
中途半端に気密性や断熱性が高まった現代の家で、従来の家以上に、湿気や結露・換気不足や日用品に含まれる化学物質の影響は大きく、住まいと住む人の健康を著しく阻害する危険性が生じてしまうということをご理解いただきたいと思います。
- 高橋一夫