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「ソーラーサーキットの家」の誕生秘話Ⅱ

〇 「気密性と通気性」という相反する性能の両立

カネカは1984年、日本に外断熱工法を定着させるべく研究と開発を重ね「カネライト・ハウス」工法を発表していました。これがソーラーサーキットの前身ともいえる工法です。

カネライト・ハウス工法は、外断熱による高気密・高断熱住宅で、室内の温熱環境を良好な状態に保つ最先端の工法として寒冷地で注目され、全国的な普及を目指していました。

しかしその考え方は、冬の寒さ対策に重点をおいた気密性の高い閉鎖型の住まいで、冬の快適さにくらべ夏は逆行するかのように快適とは言えない暑苦しい住まいとなったのです。

北国ならいざ知らず、多雨多湿の本州では、夏は熱ごもりで暑くなり、逆に冷房負荷が高まり省エネには逆行する住まいになるのです。

そこで、生まれた発想が「気密性」と「通気性」という二つの性能の両立でした。

多雨多湿で四季の変化が激しい気候風土の本州においても、気密性と通気性という相反する二つの性能を両立する事ができれば、四季を通じての快適性と耐久性も実現する住宅ができるのではないか。そうすれば日本の住宅を劇的に変える事ができるのではないだろうか。という考えに基づいて開発された工法が、気密性の高い外断熱工法に通気性を加えた『外断熱・二重通気工法』なのです。これがソーラーサーキットの家の基本をなす工法です。

こうして、1988年、関係者の熱意と努力によって誕生したのがソーラーサーキットの家です。

これまで様々な改良と進化を遂げつつ、20,000件を超えるお客様に、「冬暖かく・夏爽やかな」住み心地のいい住まいを提供し、今や外断熱の最高峰ともいえる工法に成長したのです。

「ソーラーサーキットの家」は、建物の外側をすっぽりと覆う外断熱によって、外の暑さ・寒さを遮断し、断熱材の両側に二重の通気層を設けることでそれぞれに通気性を確保します。

室内側の通気層には、ダンパーの開放と閉鎖が可能な技術を取り入れて、四季を通して良質な室内環境を創出すると同時に、壁体内の湿気や熱気を排出し、構造の中までも風通しを良くすることで、耐久性を高める画期的で理想的な建物なのです。

冬は、断熱・配熱効果が発揮され、夏は遮熱・排熱・通気の効果によって、年中が、僅かな光熱費で快適にしてくれます。

つまり、ソーラーサーキットの家は、1988年の時点で既に既に、現在国が推進する長期優良住宅の基準に示されている考え方に沿った性能や、さらに高断熱・高気密住宅の夏対策まで、独自技術で、完成させていたのです。