2021年2月5日
外断熱を造り続ける理由?
家の造りを高気密・高断熱化するというのは、単に省エネ性と快適性を高めるばかりではなく、住む人の健康を守り、建物の長寿命化を図る大きな目的があります。
健康な住まいは、病を予防することで医療費や介護費を削減すると共に、住宅という大事な資産の耐久性を大幅に向上させることで、将来のリフォームや建替え費用の軽減を図り、豊かで安心の人生設計も可能となります。
若い世代の方は、住環境が多少悪くても、免疫で十分補うことが可能ですが、60代以降ともなると自然の摂理で、老化も進み免疫も低下するのは必然です。家で過ごす時間も長くなることから、空気や温熱といった住まいの環境は、病を予防し健やかに暮らすためにもとても重要です。
また、解体時に発生する莫大な量の産業廃棄物を減少させることで、焼却によるCO2の削減や行き場のない処分場の問題解消にもつながり、広い意味で地球環境に対しても大きく貢献出来る様になります。
つまり、高度成長時代のいわゆるつくっては壊すといったスクラップ&ビルドの考え方から、国が推進する長期優良住宅制度にもあるように「いいものをつくってきちんと手入れして長く大切に使う」 というストック型の社会の形成に向けて時代は大きく変わってきたのです。
人口減少が急速に進行していく中で、現在、空き家が急増し大きな社会問題となっているように、土地という資産は一部の商業地や利便性の高い物件をのぞきその価値は低下していくものと思われます。
築25年程度で、資産価値がゼロとなり、耐震性や住み心地が大きく損なわれるような従来型の住宅では、子供や孫に引き継ぐ時には、貸すことも住むことも売ることも出来ず、莫大な解体費だけが科せられる、言わば資産ではなく負債となってしまう時代がそこまで迫っているのです。
弊社は、「いつまでも強く・いつまでも快適に」をコンセプトとして、住む人と建物の健康をいつまでも守り、50年後も価値ある家づくりを目指して、家づくりに取り組んで参りました。
つまり、50年後も家としての基本的な性能を保持することで、将来、お子さんやお孫さんも住む事ができ、賃貸や売却も可能な価値ある資産として引き継げる家にしたいのです。
こうした想いを実現させるためには、新築時点の住宅性能を長期間にわたり保持させることが、何より重要です。
少々、前置きが長くなりましたが、私達人間も年齢を重ねるごとに、老化が進むように、建物も経年による劣化が当然すすんでいきます。
内装や外装、設備などは劣化の具合により、補修や交換は可能です。
しかし、目に見えない構造部分は簡単に補修や交換は出来ないのです。
家の基本的かつ最も大事な性能である、耐震性や気密・断熱性能はもとより、これらの性能に大きく左右される住み心地の良さを長期間にわたり、保持させるには、目に見えない構造部分の経年劣化を最小限に抑えなければならず、内断熱や付加断熱が抱える様々な不安要素は、払拭出来ないのです。
外断熱は、構造躯体の外側で断熱や気密工事を施工することで、これまで室外とされていた床下や小屋裏・壁の中までも室内に近い温湿環境となり、言わば室内という捉え方が出来る形となります。
つまり、構造部と室内の温度差による内部結露の可能性がほぼなくなり、しかも一年中空気に触れることで、木材の耐久性が大幅に向上するのです。
外断熱は、このように非常に理にかなった工法であり、会社のスタッフ・協力業者・現場で施工にあたる職人さんにいたるまで、意識の統一も図られ、誰もが心から納得できる工法なのです。
結露の危険性や気密の重要性・断熱の仕組みを正しく理解し、技術の指導・教育を徹底することで、建築業界ではありがちだった、現場による品質のバラつきがなくなり、全てのお客様にご満足いただける建物が提供する事が出来るのです。
施工の品質や精度も、工程ごとに実施する検査や気密測定によって一目瞭然となり、施工不良も起きにくく、万一あったとしても、見過ごしたりやり過ごしたりさずに、改善が可能な工法でもあるのです。
さらに、実際にお住いになるお客様も換気や通気・熱や水蒸気の動きなど基本的なポイントを押さえてさえいただければ、これまでの住まいとは明らかに違う省エネで快適な暮らしが実現できる住まいとなります。
こうした点も踏まえ、外断熱の家づくりに長年取り組んでいるのということを是非ご理解いただきたいと思います。
- 高橋一夫