2018年3月24日
湿度50%でもカビは生える?
先日、住まい塾で、カビが生える条件は、温度・湿度・栄養源・酸素が必要で、どれか一つでも条件を満たさなければ生えません。
というお話をしたら、湿度を50%にしてもカーテンや押入れにカビが生えるのはなぜでしょう?という質問を頂戴しました。
こうしたお客様は、結構多いので改めて説明させていただきたいと思います。
室内の温度が20℃で湿度が50%というのは、あくまで温湿計のおいてある場所の温湿度であって、リビングの中央に置いてあれば、リビングの中央周辺の温湿度となります。
断熱性能の高い住宅では、内壁側ももちろん、温度差が生じやすい窓サッシの性能も高く、ガラス面の表面温度も、室内とほぼ変わらないので、カビの心配はありませんが、厄介なのが断熱性能が低く、家のあちこちで温度差が生じる家となります。
空気中の水蒸気は、温度によって、含むことの出来る量が変わり、その量を飽和水蒸気量といいます。
20℃の空気1立米中には、約17.3グラムの水蒸気を含むことが出来るので、50%の湿度の場合は、空気中には1立米あたり8.65グラム(17.3×0.5)の水蒸気を含んでいることになります。
そして、この20℃・50%の場合の露点温度は、8.7℃になるので、8.7℃以下の箇所で、結露が発生することになります。
ちなみに8.7℃の空気には、8.65グラムの水蒸気しか含むことが出来ない為に、20℃・50%の空気が、8.7℃の箇所に触れると、湿度が100%となり、結露となって、表面に表れてくるのです。
ご理解いただきたいのは、結露が発生するのは、8.7℃以下の箇所ですが、リビングと比べて、窓付近や押入れなどの温度が低ければ、たとえ15℃位でも湿度が高くなり、カーテンや壁部分にカビが生えてくるのです。
15℃の空気には、約13グラムの水蒸気を含むことができますが、20℃・50%で、8.65グラムの水蒸気を含んだ空気が、15℃の空気中では、8.65÷13=0.665となり、湿度は66%になってしまい、カビが生える条件下の空気になるわけです。
つまり、いくらリビングが50%の湿度であっても、水蒸気を含んだ空気は、寒い所へ移動する性質があるために、温度の低い場所では、湿度が上昇しカビが発生するというわけで、12℃のところでは、78%もの湿度になってしまうのです。
実際には、カビの生育条件は15℃以上とされており、冬場でも室内の温度を20℃・40%以内に抑えておけば、15℃でも、湿度は54%位に収まり、カビは生えにくくなります。
いつも、乾燥が気になるからといって、洗濯物を無造作に干したり、水蒸気を発生させる暖房機・加湿器などを使い、あまり湿度を高くするのは、ご注意くださいと言っているのはこうした理由です。
つまり、家の中のカビやダニの繁殖を抑えるには、家中の温度差を少なくして、換気や除湿などで、家中の湿度をコントロールしなければ、解消することは難しいということをご理解いただいたいと思います。
そのためにも、断熱と気密・換気と冷暖房のバランスが大事で、部屋を閉め切り、いる部屋だけ暖める従来の局所暖房は、NGで、開放的な間取りと暮らし方が重要なのです。
水蒸気の粒子は10万分の2ミリととても、小さくちょっとした隙間はもちろん、カーテンや襖・障子などなどは、簡単にすり抜け寒い場所へ移動するのです。
そして、断熱・気密性能をおろそかにすると、折角、開放的な間取りにしても、全然暖まらずに結局は、戸を閉め切り、従来の局所暖房となってしまい、先日紹介したように、様々な問題が生じ、悪循環と負の連鎖を招いてしまいということをご理解いただければ幸いです。
http://daitojyutaku.co.jp/log/?l=451049
※ カビは60%から繁殖する乾性カビと80%以上になると繁殖する湿性のカビがありますが、湿度が高くとも、気流や風を与えるとカビは生えにくくなります。どうしても、カビが生えて困るというところは、扇風機をあてたり、その箇所に除湿機を設置すれば、大分軽減いたしますのでお試しください。また、少し厚着をして、こたつで暖をとるなどして、部屋の温度を15℃前後に抑え湿度を50%位に抑えれば、露点温度は4.7℃となり、例え7℃から8℃の箇所で、湿度が高くなっても、カビはほとんど繁殖しなくなります。
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