2018年3月8日
自然エネルギーを活かしたソーラーサーキットの家④
兼好法師の「徒然草」にもあるように、もともと日本の住宅は“夏を旨とすべし”という考え方に基づいた家づくりが長年培われてきました。
熱がこもったり空気が淀んだりしないよう、家の中の風通しをよくし、高温多湿な環境に順応するために、様々な知恵を先人たちは絞ってきたのです。
風を呼び込む高い床下、直射日光を遮る深い軒、地熱を上手に活用した土間空間。
日本の伝統建築には、私たちが今日でも学ぶべきものが数多くあります。
ソーラーサーキットの家の基本的な造りにも、それらの知恵が生かされています。
私たち日本人は、もともと家づくりもできるだけ自然を身近に感じられるようにしたいという想いを多くの人々が持っています。
“自然と上手に付き合い”“自然と仲良く暮らしたい”それが、私たちが目指す家づくりの基本的な考え方です。
便利さや快適さを求め、湿気や暑さ・寒さの解消するために、機械や設備に頼るばかりでなく、出来るだけ自然の力を取り入れ、その上で、その力を最大限生かす設備の導入を考えることが、重要ではないでしょうか。
日本の家づくりは、石油ショック以降、省エネが叫ばれ、家づくりは“冬を旨とすべし”にあっと言う間に転換し、サッシや断熱材が急速に普及しましたが、造り手・住まい手双方の、間違った湿気や結露対策によって、窓ガラスや押入れの壁のみならず、壁体内にも、結露を引き起こし、家が腐れ、白蟻の被害を受け、30年も持たない住宅が次々建てられてしまったのです。
そして、現代の家づくりにおいても、基本的な考え方は改善されておらず、単に見た目の断熱性や省エネ設備の導入が、推進されており、湿気や結露しても、腐らないような薬剤に頼った家づくりが大半を占めているのが現状なのです。
シックハウスといえば、新築やリフォーム時に使用する建材や塗料から、揮発する化学物質が原因と思われがちですが、カーテンや家具・消臭剤や芳香剤・柔軟剤や合成洗剤・衣類の防虫剤に含まれる化学物質やカビや細菌が由来するVOCによって、発症するケースが急増しており、シックハウスから化学物質過敏症に発展するケースも多く見られるようになったのも、住まいの環境が大きく起因しているのです。
そして、カビやダニ・埃などのハウスダストによって、喘息やアトピー・鼻炎などの、アレルギー患者も、少子化によって子どもの人口が減少しているにも関わらず増加の一途という現実を真剣に考えなければならないのではないでしょうか。
健康住宅と称して、無垢材や塗り壁などを使えばさも健康住宅といわんばかりの造り手も多いのですが、無垢材や塗り壁からも少なからずVOCは発生し、湿気とともに、空気中の汚染物質も、吸放出するということの理解も必要で、家の素材だけで健康になるわけではないのです。
室内の空気は、外の空気の何倍も汚れており、家の中には600~700ほどの化学物質が充満しているとも言われております。
住宅の建材においても、厚労省による指針値が定められている化学物質はわずか15物質だけであり、身の回りのものや生活用品にいたるまで、目を向けることも必要です。
そして、湿気や結露を防ぎ、カビやダニ・害虫の繁殖を抑え、余計な薬剤を出来るだけ使わない・清掃や換気をしっかりするという日々の心がけも重要です。
いつも話している通り、省エネで快適にそして健康に暮らすには、家の中の温度差がなく、綺麗な空気に満たされた住環境が非常に大事です。
その為には、気密・断熱・換気・冷暖房といった4つのバランスが大切で、このバランスを整える意味でも、自然エネルギーを上手に活かしながら出来るだけ機械に頼らない家の造りが大事になってくるのです。
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