2018年2月27日
ナイチンゲール「看護覚え書」に学ぶ④
2.住居の健康 44P -清浄な空気より-
清浄な空気を取り入れるには、住居の構造がそのものが、外気がすみずみにまで容易に入ってくるようになっていなくてはならない。
建築業者たちは、まず絶対にこのことを考慮しない。
彼らが、家を建てる目的は、あくまで投資する資金に対して、最大の利潤をあげることであって、居住者の医療費を安くするところにはないからである。
しかし、居住者たちが、もっと賢くなって、非健康的な構造の住居に住むことを拒むようにでもなれば、また生命保険会社が会社の利益をよくよく考えたすえに、衛星調査員を雇って、お得意様たちの家を調査する制度を採用することになれば、儲けに聡い建築業者たちはたちまち正気にもどるであろう。
しかし、現実には彼らは一番安上がりな家を建て、また、その家に平気で住むような愚かな人々が、いつの世にも存在するのである。
そして、そううちに家族がつぎつぎと死んでいったとしても、それについては誰も非難されず、神の摂理といわれ、それですまされてしまう。
また、誤りを教え込まれた医師たちは「流行伝染病」にだけ非難を向けてしまい、こうした間違った考え方を助長さえしてる。
建築構造に欠陥のある病院が入院患者を害すると同じように、建築構造に欠陥のある住居は健康な人間を害する。
家のなかの空気の淀みが保証つきとなると、その当然の結果として病気の発生もまた保証つきとなる。
※ ナイチンゲールは、150年前のイギリスの消費者や建築業者・医療業界の考え方に、憤りを感じ、改善を訴えていると思うのですが、現在も多分にあてはまるのではと感じるのは私だけでしょうか。家づくりにおいて、ユーザー自身が求めないと一番疎かにされる部分が、まさにこうした部分であり、知らない・知らされないままに家を建てると、いくら見た目がよくとも、人と建物の健康は徐々に蝕まれていくのです。
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