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C値(気密性能)が大事な理由②

住宅の高気密化を図るということは、わかりやすくいえば、家の中の隙間を無くして隙間風を防ぐということになります。

夏を旨とすべしということで、長年通気性を重視してきた日本の木造住宅は、普通につくれば 基本的に 隙間だらけの家となります。

つまり、冬期間において、家の隙間からの冷たい外気の侵入によって部屋は暖まりにくいのは当然の話で、私達は小さな頃からの体験によって、誰しもが身体に染み込んでいる事実です。

それ故に、日本では節約や我慢といった国民性もあって、局所暖房が主流で、いる部屋だけ暖めたり、使う時だけ暖める間欠暖房が一般的です。

従来の1部屋から2部屋分の暖房費でも家全体が暖かい、レベルの高い高気密・高断熱の家では、贅沢という表現は、当てはまらないのですが、全館暖房や24時間連続運転という考え方がなかなか定着しないのはこうした理由も大きいと思います。

さて、暖房をしても足元からスース―と冷たい風が吹いてくるようなあの寒さは、非常に不快なものです。

これには、原因があって、室内と外気の温度差によって必然的に空気の対流が起きて換気の作用が働くのです。

暖かい空気は、自然現象で上へ上へと上昇します。

気密が悪いと、高い壁面や天井面から暖かい空気は逃げていき、逆に床下や低い壁面から冷たい風を引っ張り込むのです。

※こうした現象を温度差換気といいます。

このような家では、常に床面と天井面との温度差が5℃~10℃もあり、たとえ部屋の戸を閉めていても、足元が寒く、頭の方だけ熱くなってしまい室温も25℃位にしないと暖かさを感じないものです。

気密の悪い住宅で、壁面上部に設置したエアコンで暖房をしても部屋全体がなかなか暖まらないのはこうした理由で、床上から暖まるファンヒーターや電気カーペットが、これまでの暖房方法でした。

熱気球は、気球の球皮(エンベロープ)から空気が漏れずに熱が溜まり、浮力が生じて、飛ぶことができるのです。

断熱と気密がしっかりと施工されていれば、上下の温度差や暖房のない部屋間の温度差が少なく、たとえリビング階段や吹き抜けをつくっても寒さを感じないのは、熱が外部に逃げずに蓄熱されているからなのです。

※ 高気密・高断熱だから、吹き抜けやリビング階段をつくっても寒くありません。と言われたのに寒いというのは、気密・断熱のレベルが低いか、暖房の間欠運転もしくは、絶対的な暖房能力不足で、2階部分の室温の低さによるものです。

最後に、気密によって空気が漏れる漏気量と暖房負荷の違いを表したグラフを紹介します。

気密性能によって、かなりの差が生じるのがご理解いただけると思います。

※ ちなみにC値15というのは、概ね昭和の建物で、C値10は平成の建物・C値5.0=一般的な高気密・高断熱と考えていただければOKで、宮城のような寒冷地のC値の基準は2.0以下というのが一般的ですが、経年変化を考慮すると、最低でも1.0以下が必須であり、理想をいえば0.5以下が望ましい数値となります。

いくら厚い断熱材を充填したとしても、隙間が大きいと本来の性能を十分に発揮することは出来ないということをご理解下さい。

そして、C値の良し悪しは、住んでからの住み心地はもちろん、光熱費や換気性能・結露の発生や住宅の耐久性など、様々な影響が生じる大事な住宅の性能となりますので、くれぐれもご注意ください。