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内断熱(充填断熱)のデメリット①

今週は、内断熱(充填断熱)のデメリットを改めて紹介したいと思います。

内断熱の最大の欠点は、何といっても構造躯体そのものが、非断熱部分となることで、室内と室外の温度差の激しい季節においては、熱橋(ヒートブリッジ)という文字どうり熱を伝える橋となります。

木造であれ、ツーバイであれ、鉄骨であれ、構造材は、基本的には断熱材ではないので、おのずと非断熱部分(全体の20%前後)となり、熱橋の影響により熱損失が大きいものになります。

つまり、冬は、室内の熱損失を助長し、夏は40℃近くもなる外壁の裏側から、熱を室内に侵入させる要因となります。

そして、この熱橋は、住み心地の悪さや光熱費の上昇に影響を及ぼしますが、それより怖いのは、温度差によって発生する壁体内結露による構造の腐朽であり、長期間、熱の伝導により収縮と膨張を繰り返すことで、狂いや痩せ・割れといった構造の変形・毀損を招き、年々、劣化が進み、耐震性の低下にもつながるのです。

昨年4月の熊本地震において、旧耐震の住宅のみならず、新耐震基準の住宅の多くが、半壊や全壊の被害を受けましたが、こうした経年劣化による、耐震性の低下も大きな要因となっています。

参考までに、主な建築材料や断熱材の熱伝導率を比較してみましょう。

<建築材料>
〇 杉・ヒノキ0.12W/mK
〇 軽量気泡コンクリート0.17W/mK 
〇 コンクリート1.6W/mK
〇 鋼材53 W/(m K)W/mK)
 
<断熱材> 
〇 グラスウール16K0.046 W/mK
〇 高性能グラスウール24K0.036W/mK
〇 吹き込み用グラスウールGW-1- 0.052 W/mK・30K相当 0.04 W/mK
〇 ロックウール0.038W/mK
〇 ポリスチレン3種0.028W/mK
〇 ソーラーサーキット断熱材0.024W/mK

鉄骨の熱電導率は大きすぎて、比較するまでもございませんが、断熱性がある程度有する木材でも、熱伝導率は0.12W/mKと大きいのがお分かり頂けると思います。

そして、この熱伝導率を用いて、各材料の熱の抵抗値を算出することが出来ます。

熱抵抗値とは、材料の熱の伝わりにくさを表す値です。

裏表に1℃の温度差がある場合に、ある厚さの材料の中を、面積1㎡あたり、1秒間に伝わる熱量の逆数で、当然、値が大きい程、熱が伝わりにくく、断熱性能が高いということになります。

熱抵抗値(m2・ K/W )は、材料の厚さ[m]÷熱伝導率W/(m・K)で求められます。

例えば、柱3寸5分(10.5㎝)の場合は、0.105÷0.12=0.875(m2・ K/W)の熱抵抗値となり、グラスウール16Kで厚さ100mmの断熱材の熱抵抗値は、0.10÷0.046=2.17m2・ K/Wとなります。

つまり、グラスウール断熱材2.17m2・ K/Wと、同等の性能を柱に求めると、2.17(熱抵抗値)×0.12(木の熱伝導率)=0.26 となり、柱は、26㎝角(7.5寸)の太さが必要で現実的ではありません。

要するに、内断熱の場合、壁内部は、熱抵抗値2.17m2・ K/Wの断熱部分と熱抵抗値0.875m2・ K/Wの構造部分が混在しており、将来、目に見えない壁の中で、様々な不具合が生じることは、ご理解いただけるのではないでしょうか。

ちなみに、標準のソーラーサーキットの熱抵抗値は、0.06÷0.024=2.5m2・ K/Wとなります。

もちろん、外断熱ですので、熱橋の影響は受ける事なく、高い断熱性能が長期間発揮され、構造部分の性能も、オマケ程度ですが、逆に付加されるということになります。

少々、複雑で面倒な話になってしまいましたが、新築時の住宅性能を長期間発揮する為にも、断熱方法は非常に大事で、重要なポイントとなりますので、是非ご理解いただければ幸いです。