2018年1月26日
空気の中身に目を向けましょう。
換気の重要性については、いつもご説明しておりますが、空気の中身については、目に見えないこともあって、普段あまり意識していない方が多いのではないでしょうか。
グラフの通り、一般的な空気の中には、窒素が78%・酸素21%・アルゴンガスや二酸化炭素などその他の成分が約1%含んでいます。
また、その他1%の中に含まれる、空気中の二酸化炭素の割合は、綺麗な大気で 350~400PPM、市街地の外気で400~600PPMとされています。
当たり前の話ですが、私達は、生命を維持するために、空気を体内に取り入れているのですが、呼吸によって体内からも同じ量の空気を排出しています。
それでは、吐かれる空気中の成分は、どのように変化するでしょう。
窒素は、変わりませんが、酸素を体内に取り入れ、二酸化炭素を排出することで、酸素と二酸化炭素の比率が大きく変わります。
酸素は21%から16.5%となり、二酸化炭素は0.04%から4.5%となり、概ね酸素の減少分がそのまま二酸化炭素の増加分となります。
つまり、室内の空気の中身は、人が呼吸するごとに、酸素濃度が減少し、二酸化炭素濃度が上昇することで、汚れた空気になるために、適切な換気が必要になるのです。
性別や体重により、個人差もありますが、人は、1回の呼吸で、約0.5リットルの空気を吸います。
1分間に約20回呼吸するとして、1時間で1200回・1日で28,800回の呼吸をする計算となり、実に14,400リットルもの空気を吸ったり、吐いたりしているのです。
室内の二酸化炭素濃度は、800PPM 以下であれは問題の少ないレベルとされており、ビル管理法で1000PPM、学校などでは1500PPM以内というのが、指針値となっておりますが、空気の比率でいうと、それぞれ0.1%と0.15%となり、とても少ない比率です。
しかし、呼吸によって排出される二酸化炭素の比率は、0%台から4.5%になりますので、気密性の高い締め切った部屋で、換気をしなければ、たった1時間でも、二酸化炭素の濃度は、5000PPM以上になり、0.5%の割合にまで上昇し、時間の経過とともに、身体にも悪影響を及ぼすのがおわかりになると思います。
CO2濃度は、1500PPMを超えると、眠気を催し、集中力を妨げたりするなどの影響を及ぼし、5000PPMを超えると頭痛やめまいが生じると言われており、労働衛生上の基準では、8時間労働の場合、5000PPMが許容基準になっています。
一方、室内の酸素濃度の安全値は、18%以上となっており、18%以下になると、めまいや吐き気・頭痛や運動障害などが起こり、10%を切ると命さえも失ってしまいます。
つまり、室内空気のCO2濃度は、常時1000PPM以内にするための換気が必要であり、この数値が維持できていれば、自ずと室内の酸素濃度は常に20%~21%は保たれ、新鮮な空気の中で暮らせていることになるわけです。
また、石油ファンヒーターやストーブなど、室内で燃焼するタイプの暖房を使用すると、燃焼時にも、酸素を使い二酸化炭素を排出し、酸素濃度の低下や、機器の作動不良などによっては、0.05%の微量でも意識障害が起きる、有害な一酸化炭素が発生したり、高温で燃焼することで空気中の酸素と窒素が結合し、窒素酸化物(NOX)という大気汚染の原因ともなる有害物質も発生します。
さらに、室内の空気には、シックハウスや化学物質過敏症を引き起こす、住宅建材や家具・カーテンなどの日用品・カビや細菌といった微生物が由来する無数のVOC(揮発性有機化合物)や消臭剤や防虫剤・柔軟剤などに含まれる無数の化学物質も含んでいるということも理解しなければなりません。
空気の中身は見えないので、非常に厄介ですが、室内空気の良し悪しは、健康に影響を及ぼすのはもちろんのこと、職場での作業効率やご家庭でのお子さんの学習効率にも、影響を及ぼします。
少々、面倒な話になりましたが、室内の空気の中身にも目を向けていただき、換気の重要性をご理解いただければ幸いです。
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