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知らないと一番疎かにされるのが、断熱・気密・換気・冷暖房

家の住み心地は、一年を通して住んでみないとわからないものですが、住み心地に一番大きな影響を及ぼすのが、家の温熱環境と空気環境ということは、多くの皆さんが一応理解しているのではないでしょうか。

しかし、この温熱環境と空気環境のベースとなる断熱・気密・換気の重要性を正しく認識している造り手は、いまだに少数で、建築コストや施工技術の関係もあって、ユーザー自身が造り手に対して、高い性能を求めていかないと、一番疎かにされがちな要素でもあり、これがオイルショック以降、いまだに続く建築業界の悲しい現実です。

その結果、暖かさや涼しさ・結露やカビによる空気の汚れなど、ユーザーの抱く快適な新築のイメージとはかけ離れた住宅が多く造られてしまうのです。

上記のグラフは、5年前に国交省が公表した若干古いデータですが、現在、日本国内にある既存住宅の僅か5%しか、1999年に制定された次世代省エネ基準を満たした住宅はありません。

そして、この18年前の基準をベースにして、設備や給湯・換気や照明といった住宅設備の省エネ性能を加味しただけの改正省エネ基準が、ようやく3年後に義務化となります。

参考までに、この基準が、長期優良住宅制度における住宅性能表示の断熱等級が4という、最高等級となります。

しかし、残念ながらこの基準は、省エネや高性能とは言い難く、あくまで最低限のレベルだということを理解しなければならず、断熱が進む欧米と比較すると進んでいるのは設備だけで、住宅性能は、何十年も遅れていると言われている所以です。

いま盛んに、宣伝されていZEH(ゼッチ)基準にしても、断熱性能そのものは、この最低限の基準から僅か20%向上させただけの性能であり、弊社の20年以上前の性能よりも低い基準なのです。

しかも断熱の精度については、一切担保されておらず、示されている数値はあくまで、設計上の計算値で、現実的に計算値どうりの性能を発揮するかどうかは、職人の良心と技量によって、大きく左右するされてしまうのです。

さらに、付け加えれば、1999年当時は明確に示されていたC値という家の隙間を表す気密基準も、今回の省エネ基準では、不可解なことに削除されてしまい、高気密・高断熱とは名ばかりの省エネもどきの住宅が、今もな造られ続けており、見た目はそこそこでも、いわば穴だらけのダウンジャケットのような家も多いということを理解しなければならないのです。

上記の表は、建物の断熱や気密の違いによる真冬の暖房費の比較です。家の断熱の違いによってこれだけの差が生じるのです。

家中、温度差をなくして暖かくするといっても暖房費だけで月3万以上かかれば、従来のいる部屋だけ使う時だけ暖める局所暖房の生活となり、不快な温度差や結露は解消することはありません。

しかも、気密性能の低い住宅は、冬期間においては、室内外の温度差によって生じる隙間風が室内に大量に侵入してしまうのです。

さらに、気密が悪いと室内の水蒸気が、構造内へ移動するため、湿気や内部結露によって、断熱材の性能も低下し、益々寒い家となり、暖房費も上昇してしまうのです。

いつまでも、省エネでしかも快適で、健康に暮らせて、地震にも強く、家を長持ちさせるには、気密・断熱・換気・冷暖房のバランスが何より重要であり、その中身や仕組みをユーザー自身が正しく理解したうえでの適切な暮らし方も非常に大事なことなのです。

しかし、中身はさほど検討せずに、最高等級だからご安心くださいという業者の言葉を鵜呑みにして、見た目の価格や外観・設備やインテリア・ブランド・営業マンの対応の良さといった表面的な部分で、依頼先を選択してしまい、後々後悔するユーザーが、実に多いのが住宅でもあるのです。

その結果、住宅の快適性や耐久性を失った空き家が急増し、温度差によるヒートショックやアレルギー疾患を初めとする様々な病気を引き起こし、国民医療費もうなぎ上りという大きな社会問題をも生み出しているといっても過言ではありません。

もちろん、これは、ユーザーの責任ではなく、まだまだ気密や断熱に対し、無関心な造り手が多く、護送船団的な業界の体質や悪しき習慣が大きな原因でもあるのですが、気密や断熱は、単に省エネだとか快適だというだけでなく、家の耐震性や耐久性にも大きく影響を及ぼす要だという認識が必要なのです。

一生で一番高い買い物であり、失敗は許されないのがマイホームです。

真冬の夜間に暖房を消したら、朝6時に何度になる家なのか?

暖房の無いトイレや浴室・洗面所は真冬に何度になるのか?

結露やカビに悩まされることはないのか?

床下・壁内・小屋裏にも内部結露は発生しないのか?

夏場にエアコンをつけて、夏の逆転結露は発生しないのか?

家中の温度差を常時2℃~3℃以内に抑えた場合の暖房費はいくらかかるのか?

夏でも、家中の温湿度が27℃~28℃・湿度60%以内に抑えるための手段はどうするのか

夏のエアコンの光熱費はいくらかかるのかなど、確認する必要があるのです。

これらを確認せずに、たぶん大丈夫だろうと家づくりを進めると、後々後悔する可能性が高くなるのは間違いありません。

家の寒さや温度差・結露や光熱費などについては、最終的には自己責任となり、いくら後からクレームを言ったとしても、対応は困難で悲しい答えしか返ってきません。

どちらのメーカーで建てるにしても、ユーザー自身が、肝心要の大事な部分の重要性をご理解いただいた上で、しっかりと造り手に求めていくことこそが、マイホーム成功の第一歩となります。

価格はもちろん、家の広さや間取り・外観・設備や内装などの検討は、それからでも遅くありません。

特に、家の予算や広さは家づくりにおいて、重要な要素ではありますが、予算・広さから家づくりを検討すると、造り手に真っ先に削られるのが、住み心地に一番影響を及ぼすものの、目に見えない部分でもあり、ユーザーには比較の難しい断熱や気密・換気の部分だということをご理解いただければ幸いです。