2017年12月7日
隙間風の原因を正しく知ろう
ブログをご覧いただいている方から、隙間風を止める方法はないですか?というご質問を頂戴しました。
何とも悩ましい質問ですが・・・。
実は、隙間風を止める簡単な方法があるんです。
それは、部屋を暖めずに出来るだけ外気温に近い状態にすれば、よほど風が強くなければ隙間風は入ってこなくなります。
そんなことしたら、寒くていられないと怒られそうですが・・・。
お客様には、いつもご説明しておりますが、隙間風の原因は、もちろん家の隙間があるのが、要因ではあるのですが、部屋を暖めることによって生じる外気温との温度差や部屋間の温度差が原因なのです。
隙間があっても、春から秋の日中穏やかな日は隙間風はなく、隙間風を感じるのは朝晩の冷え込んだ時だけです。夏の熱中夜などには、多少外が涼しくなっても風がなければ、窓を全開にしても風すら感じないのはこのためです。
要するに隙間風の原因は温度差が引き起こす自然の換気現象というわけです。
暖められた空気は、自然の摂理である上昇気流によって上部へ移動して、家の隙間から外へ逃げていきます。そうすると必然的に、暖めた部屋は負圧がかかり、(空気が少なくなる)
逃げた分の空気を家の隙間から引っ張り込むのです。
そして、温度差があればあるほど空気が逃げていく量は大きくなりますので、隙間風も多くなります。(漏気ともいう)
これは、部屋間においても同じ現象が働きます。リビングだけ暖めてドアを閉めていると、スース―と隙間風が入り、お子さんがトイレにいくのにドアを開けっ放しにでもしたら、寒い廊下などから冷たい風が入ってくるのです。
上記は、家の隙間と温度差による換気量のグラフです。家の隙間によって、これだけの量の空気の出入りが常時行われているということなのです。
※ 詳しい説明は住まい塾へどうぞ
隙間による温度差換気は、単に不快なばかりか、暖房費の上昇や結露の発生に加え、季節によっては、全く機能しないために、換気不足となりアレルギーなどの症状をも引き起こす、非常に厄介な存在なのです。
よく、冗談半分にうちは隙間だらけだから、自然換気で十分という方もいらっしゃいますが、自然換気が働くのは、冬場や温度差のある時だけで、1年の半分は換気の作用が働かないのです。
さらに、新築住宅でも、C値が5.0位の低気密住宅では、計画換気が計算どうりに働かず、寒い冬は換気過多となり、その他の季節は、換気不足になってしまいます。
特に、昨今の中途半端な高断熱・高気密住宅では、構造躯体の中で生じる内部結露によって、構造の腐朽や蟻害によって家の寿命まで短命にしてしまい住宅ローンが終わる前にその価値を失ってしまう危険性が高まるのです。
なぜかと言えば、現代の住宅は、耐震性を高めるために柱の外側に構造用の面材を張り付ける工法が主流ですが、これまでの住宅であれば、面材は張らずに断熱材の外側に透湿シートを張ることで、例え結露しても水分は外部へ排出されていたのですが、現在は、面材で水蒸気がせき止められ結露するケースが非常に多く、断熱材を濡らし性能が低下するばかりか、面材そのもの耐久性を失ってしまい、どれほど持つものなのか非常に危惧するところです。
換気が義務化となって、10年以上経過しますが、新築住宅で、換気のトラブルが多発しているのもこうした背景があるということをご理解下さい。
私がいつも、どこで家を建てるにしても、最低でもC値(隙間面積)は1.0以下・換気は熱交換の1種換気と言い続けているのはこうした理由なのです。
※ 築年数の経過した住宅で、隙間風を少しでも抑えたいという方には、サッシなどに隙間テープを張ると、結構効果があります。但し、サッシからの隙間風を抑えるだけで、逃げた分の空気は別の隙間から必ず入ってきますので悪しからず。
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