2017年8月5日
家づくりの順序
人は、誰もが家族の健康と幸せを願い、マイホームを買ったり・建てたりするものです。しかしながら、実際に思い描いた通りの家に巡り合い、心から満足している方は、残念ながらそう多くはありません。
グラフを見てわかる通り、総じて満足度は高くなく、特に不満を感じているのが、暖かさや涼しさといった住み心地に影響を及ぼす、住宅の温熱環境です。
これから、マイホームを計画している皆さんが、考えなくてはならないのが、住み心地は住んでみないとわからないという事で、こうした温熱環境の不十分な住宅に長く住み続けるという事は、単に寒い・暑い・光熱費だけの問題ではなく、日々ストレスを感じながらの生活を強いられ、結果的にご家族の健康や建物の耐久性をも損ない、その資産価値まで失ってしまう危険性が大きいというリスクです。
多くの人は、家を建てようとすると、メーカーのブランド・間取りや外観・設備や内装・予算や毎月の支払などに目を向けがちです。
もちろん、そうした要素も重要ではありますが、一番大事なのは、毎日の住み心地であり、家族が健康に暮らせて、地震などの自然災害から命を守り、どれだけ長持ちするかということではないでしょうか。
昨今の住宅市場では、省エネ住宅やZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)という言葉だけが、一人歩きし、「冬暖かく・夏涼しい」という言葉だけを鵜呑みにして家づくりを進めるお客様が非常に多く、私自身本当に危惧しています。
是非、家づくりを進める前に、気密や断熱・通気や換気に目を向け、ある程度勉強して、家の良し悪しを判断できる確かな目を養っていただきたいのです。
省エネ住宅は、気密性能と断熱性能がベースとなっておりますが、そのレベルは、まさにピンキリで、長期優良住宅の最高等級だからOKとかZEH基準をクリアしているから安心ではありません。
省エネ基準が改正となり、3年後に義務化となる基準でさえ、1999年に制定された次世代省エネ基準レベルであり、基準値そのものは最低限のレベルなのです。
しかも、何故か?C値という家の隙間面積を表す基準が削除され、測定を実施しているメーカーもごく僅かというのが業界の現状で、C値(隙間相当面積)が、1.0㎝/㎡を超える隙間がある住宅は、断熱材をいくら厚く充填しても、20℃も温度差のある冬期間は、漏気によって足元から冷たい外気が侵入するのです。
さらに、UA値などの数値は、あくまで計算値であって、実際その計算値どうりの性能が発揮されるかどうかは、施工の精度次第であり、気密測定すら実施しない建物が計算どうりの性能を発揮することは、不可能といっても過言ではないのです。
住宅の依頼先の決め手は?という調査で一位と二位はご存知でしょうか?
一位は、営業担当者の対応が良かったから
二位は、予算内に納めてくれたから
いつの時代も不動のワン・ツーです。
もちろん、営業マンの対応も予算も大事ではありますが、その家に住むのは、お客様自身であり、ローンや税金・光熱費・維持費や補修費を支払うのは、お客様自身なのです。
そして、価格に満足するのは初めだけで、住み心地の悪い住宅を選択すると、後悔だけが募り、不満は一生続くというのが、私の率直な考えです。
顧客満足は、経営には最も重要で、ご契約前の満足は受注に直結することから、どこの会社も、最大限の力を注いでいますが、さらに大事なのが、お引渡し後、住んでからの満足ではないでしょうか。
弊社では、20年後も30年後も頼んで良かったと心から喜んでいただける家づくりこそが、住宅会社が目指す真の顧客満足だと信じ、住み心地を重視した外断熱の家づくりに長年取り組んでいます。
どこのメーカーや工務店でも、住み心地は、保証されることはなく、最終的には自己責任です。
雨漏りや構造は保証されても、結露による構造の腐朽や蟻害さえ、瑕疵保険の保証対象外ということを認識しなければなりません。
家づくりだけは、やり直しの効かない人生で最大のプロジェクトです。
ご家族の健康や幸せを叶える為にも、目に見えない部分を、しっかり確認し、納得してから、家づくりを進めていただきたいと切に願います。
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