人の老化の原因は、よく酸化(錆)と糖化(焦げ)と言われていますが、建物の老化の原因は何でしょう。
外部や設備は、紫外線や酸性雨・湿気や気温の変化・耐用年数などによる経年劣化にくわえて、日常のメンテナンスの不備が主な要因ですが、目に見えない構造の劣化は、やはり湿気や結露の影響が大きく、それに伴うカビや腐朽菌・シロアリなどが大きな要因となります。
特に床下や壁の中・小屋裏の劣化は、構造材の腐朽により耐震性が低下したり、断熱性能の低下によって、住み心地も悪くなり、病を引き起こしたり、光熱費も上昇し、資産価値の低下をも招いてしまいます。
よく、築10年位のお客様が、建てた当初よりも寒くなったとか暑くなったとか、結露するようになったとか、カビ臭くなった・光熱費がかかるようになったというような相談をよく受けます。
何とも悩ましい相談ですが、原因は明らかです。
大きな原因は、気密や断熱性能の低下です。構造材の収縮や気密フイルムの破れやビス穴が広がってしまい家の隙間が大きくなったということです。
隙間が広がると壁体内での内部結露によって、断熱材が水分や湿気の影響を受け、断熱性能の低下を招きます。
また構造材の収縮にも注意が必要です。構造材がミリ単位でも収縮すれば、断熱材との隙間が広がり、断熱されていない部分は無断熱状態となり、さらに内部結露の危険性が増加するというわけです。
必然的にカビや腐朽菌も増殖し、構造材の劣化に加え、室内の空気環境まで悪化してしまうのです。
その他にも、サッシのパッキンなどの摩耗や換気や冷暖房のメンテナンス不良なども考えられますが、いずれにしても、気密や断熱性能の低下が主な原因となります。
対策は、難しいようですが、理屈さえわかればそんなに難しいことではありません。
〇 収縮やねじれ・割れの生じにくい構造材(木材)含水率の低い乾燥材を使用する。
〇 断熱施工を隙間やよれ・たわみの出ないように、確実な施工をすること。
〇 湿気や水に、強い断熱材を使用すること。
〇 防湿施工と気密施工を確実に実施して、C値(すき間相当面積)最低でも1.0以下の住宅にすること。